マツダレンタカー|所有からサービス利用へ~カーシェアリング
企業研究/マツダレンタカー
クルマは所有からサービス利用へ
「カーシェアリング」を積極展開

クルマを道具と割り切り、所有せず必要な時に借りる流れを受け、カーシェアリング事業の立ち上げに力を入れるマツダレンタカー。クルマの保有台数、走行距離の削減により、環境保護に貢献する構えだ。
[ 写真 ] カーシェア24の東京・秋葉原UDXステーション。ITをフル活用して、無人で24時間対応を実現している。神奈川や栃木など東京周辺に住む会員の利用が多い

レンタカー業界はマスコミで話題となることこそあまりないが、内需不振の中で安定成長を続ける数少ないサービス業界の1つだ。10年来、2%台の成長を維持し、現在は推定3500億円市場となっている。
その背景には国内での極端な新車販売不振がある。07年の新車総販売台数は前年比6.7%減の535万台。777万台でピークだった90年と比べると3割も目減りしている。
その理由は様々に指摘されているが、消費者の実利指向や企業のコスト意識の高まりから、公共交通が発達した都市部を中心にクルマの所有率は減少傾向にある。
クルマは「マイカーや社用車として所有する」ものから「必要な時に借りる」ものへ。この流れがレンタカー業界の安定成長を支える。
[ 写真 ] 上西清志社長
マツダ車以外も用意
こうした業界環境の中で、特に気を吐くのが、売上高230億円で業界4番手に位置し、業界トップ3入りを狙うマツダレンタカー(本社:広島市)である。
社長の上西清志氏は「レンタカーには従来、旅行、代車、法人という3つの需要があった。だが、クルマを所有しない消費者、企業が増えている今、当社は生活やビジネスにもっと密着した、身近な存在を目指している。それには、サービスの充実で多様なニーズを満たす必要がある。さらにCO2を排出するクルマでビジネスを営む以上、社会的な使命として、環境に配慮した新しいレンタカー活用を提案していく」と話す。
マツダ子会社だったマツダレンタカーは04年、大和証券系のベンチャーキャピタルに株式が売却されて独立系となった。「マツダブランドの信用力を維持しつつも、自主的な経営が行なえる」(上西社長)という優位な立場にある。
実際、全国に展開する360の店舗では、地域のニーズに合わせ、車両ラインナップもマツダ車以外を柔軟に取り入れている。特に個人客にはレンタカーで“非日常”を味わってもらおうと、一部店舗では外車やスポーツカー、ハーレー製の3輪バイクなどを取りそろえる。
一方、もともと強い法人分野に力を入れ、業界でも珍しい営業部隊を構える。法人契約の顧客に対しては全国一律条件でサービスを提供。大手のビジネスホテルチェーンとも業務提携する。さらに、170カ国以上に展開する欧州最大のレンタカー会社「ヨーロッパカー」とも提携し、グローバルネットワークを構築しつつある。
カーシェア24とは?
そして何より、マツダレンタカーで目を引くのは、カーシェアリング事業「カーシェア24」である。
カーシェアリングとは、サービス事業者が所有するクルマを、会員で共同利用するもの(相乗りではない)。主に、クルマを足としては常用せず、個別に所有するとコストが高い都市住民向けのサービスといえる。
その大きな特徴は、きめ細かい従量課金のため、個々人の走行距離を抑えられることだろう。環境重視のライフスタイルが定着する欧州では、利用が広がっている。また自動車大国の米国でも都市部の高所得層を中心に、セカンドカー、サードカーを所有する替わりに、カーシェアリングの利用が増えている。
日本でも分譲マンションの住民サービスとして、カーシェアリングを手がける不動産業者が出てきた。だが、事業の親和性が高いレンタカー業界は総じて様子見。その中でマツダレンタカーの積極姿勢が目立つ。上西社長は次のように話す。
「我われも日本ですぐに広まるとは考えていない。欧米でも普及するまでに10年はかかっている。ただ日本でも今後、クルマを道具と割り切る風潮が強まるだろう。環境意識の高まりからも、カーシェアリングのニーズは出てくるはず。率先して市場を創造したい」
マツダレンタカーは05年2月からカーシェア24を開始。現在は福岡、広島、東京、大阪など6都市の中心部に、無人で24時間運営のステーションを合計16カ所展開している。会員は専用サイトや電話、ステーションの専用端末で予約を行ない、ICカードを使って車両を借り出し、返却する。IT活用で徹底して省人化を図っているのだ。
カーシェア24では現在、約700人の会員に対して車両44台を提供。1ステーション当たり2〜3台を配備しているわけだ。「1台を20〜30人で共有すると、会員がほぼいつでも利用でき、我われとしても適正な稼働率が得られる」という。
ガソリン代、補償制度の利用料込みの料金は15分単位の従量課金。よく利用する会員に向けた月額基本料金4200円のAコースは15分当たり210円。利用が少ない会員向けた同1050円のBコースなら315円という価格設定である。
Aコースの場合、1回3時間で週2回、つまり1カ月24時間の利用で費用は約2万4000円。これを高いと見るか、安いと見るか。マツダレンタカーによれば、都市部でのクルマ保有コストは月5〜6万円(車両価格120万円を60回分割払い、年間走行距離が約5000km、駐車場は賃貸)だ。また、6時間という最低貸出時間で週2回、レンタカーを利用すると、1000ccクラスでもガソリン代抜きで月5万円を超える。
「都市部に住んで週末しかマイカーに乗らない人だと、クルマの稼働率は3%程度。これに月5〜6万円も支払うのはムダという意識が強まっている。また、2〜3時間の短時間使いたいというニーズも相当あるが、6時間から貸し出すレンタカーでは非効率。こうしたニーズをカーシェア24で吸収したい」(上西社長)。
特に都心部でサービス展開するカーシェア24の場合、個人利用だけでなく、企業利用も見込める。企業は社用車保有コストの削減に加え、走行距離抑制でCO2の排出量を減らせ、環境経営の一環となる。実際、環境対策への取り組みで有名なリコーの子会社、リコー中国などが活用している。
地域に応じたサービス
カーシェアリングの課題は、利便性の確保である。いくらコストが安くても、借りたい時に借りられなければ、利用は広がらない。そのためマツダレンタカーは、各都市の地域特性にあったステーション展開を研究している。
例えば本拠地の広島市では、企業の本社・支店が集中する中区に9つのステーションを数百メートル間隔で面展開する。仮に最寄りのステーションの車両がすべて貸し出されていても、別のステーションに出向くのも苦にならない距離だ。広島では400人強の会員がいるが、その6割が法人客。商談等で近場を回る際によく利用される。
[ 写真 ]欧州最大のレンタカー会社、ヨーロッパカーとの提携により、グローバルネットワークを構築。国内ユーザーの海外でのレンタカー利用、逆に海外ユーザーの国内でのレンタカー利用を支援する
東京では秋葉原にステーションを置いているが、神奈川や千葉など周辺部の会員が目立つという。都内に入るまでは鉄道を利用し、入ってからはカーシェア24を活用しているようだ。
2万1000台の車両をレンタカー事業で日々運用しているマツダレンタカーからすれば、カーシェア24の事業規模はまだ微々たるもの。だが、「今後はどの業種であっても環境保護は避けて通れない。カーシェア24の事業化でさらに貢献したい」と上西社長は意気込む。
経済・環境の両面から「クルマは所有からサービス利用へ」という流れが進めば、カーシェアリングを含む広い意味での“レンタカー”利用はさらに増える。マツダレンタカーの取り組みが注目される。





