複合機のスキャン機能活用して ドキュメントの電子管理環境を実現
商品研究1 レーザー複合機
複合機のスキャン機能活用して
ドキュメントの電子管理環境を実現
レーザー複合機は、プリンターやコピー、スキャナーなどの役割を単に一体化しただけではない。ネットワーク標準装備タイプも増えており、情報の入出力端末としてビジネスシーンでの活用の幅は広い。その1つが、ネットワークとスキャナーにより実現されている様々な機能を活用してドキュメントを電子管理すること――電子文書管理環境の構築である。
ネットワークに対応したレーザー複合機(以下、MFP)を活用することで、ドキュメント(ビジネス文書のこと)の電子管理(電子文書管理)環境を構築可能だ。
詳細へ入る前に、電子文書管理のメリットを確認しておこう。電子文書管理とは文字通り、ドキュメント管理を電子データで行なうこと。紙ベース管理に比べて、「省スペース化」「社内情報の継承や共有」「検索の効率化」「セキュリティ対策」といった点でメリットがある。
紙のドキュメントをPDFファイルなどに変換してデータ保存することで、「省スペース化」を実現。紙文書を保管していた場所が不要となるため、管理コストの削減や空きスペースの有効利用が可能となる。
電子データ化は、「社内情報の継承や共有」にも効果的だ。紙ベースでは散逸しがちなドキュメント類を電子化して共有フォルダに集約することで、社内情報の蓄積や継承も容易に行なえる。デジタルならではの「検索の効率化」により業務のスピードアップにつながる他、メール送信や印刷、内容修正などデジタル文書活用の利便性も高い。
また、情報を共有する一方、ドキュメントへのアクセス制限を設けることで、機密性を保持できるなど「セキュリティ対策」にも有効である。
MFPの多彩なスキャン機能
これだけのメリットを認識していながら、社内ドキュメントの電子データ化に踏み切れない企業も多い。ドキュメントの電子管理には、大掛かりなシステムやコストが必要だと思っていることが理由だ。
確かに本格的な電子文書管理を導入するとなれば、システム構築だけでなくドキュメント作成から保管、廃棄までのプロセスを見直すなど業務フローの再構築にも踏み込む必要があり、コストと時間を要する。
だが、簡易的な電子ドキュメント管理環境なら、MFPに備わったネットワークを利用した様々なスキャン機能により実現が可能なのである。具体的には、①MFPのスキャン機能でドキュメントを電子化し、②文書管理ソフトで電子文書を管理するという仕組みだ。詳細を見てみよう。
①MFPのスキャン機能はモデルにより異なるが、「スキャン to ファイル」「スキャン to FTP」「スキャン to PDF」「スキャン to OCR」といった機能が主に紙ベース文書の電子化に役立ち、「スキャン to Eメール」「スキャン to Eメール添付」「スキャン to USB」などは電子ドキュメントの活用に高い利便性を発揮してくれる。
「スキャン to ファイル」は、スキャンにより電子化したドキュメントをネットワーク上の指定パソコンや共有フォルダへダイレクトに保存できる機能だ。指定した保存先にドキュメントを集約することで、社内文書を一括管理する下地を構築できる。扱う文書類の少ない個人事業者や小規模企業向きだ。
もう少し本格的に使える機能が「スキャン to FTP」で、スキャン文書をFTPサーバー(*1)へパソコンを使わずに直接転送できる。ドキュメント類を大量に扱う企業に適している。取引先などがFTPサーバーを設置していれば、電子ドキュメントのやり取りや共有が可能。データが大容量のためEメールでは送りにくい文書などの受け渡しや共有にも役立つ。
「スキャン to PDF」「スキャン to OCR」は、スキャン文書を目的に応じたファイル形式に変換する機能。前者はPDFに、後者はOCRデータに自動変換してくれる。データ容量を小さくできるPDF形式はドキュメントを扱いやすくし、OCRはスキャン文書をテキストデータとして保存するので修正や編集ができる。それぞれドキュメントの性質により使い分けたい。
ドキュメント活用の利便性を高める「スキャン to Eメール」は、スキャンしたドキュメントをEメールの添付ファイルとしてMFPからダイレクトに指定アドレスへ送信できる機能だ。ネットワークでつながっていれば、どこへでもFAX感覚で文書を送信できる。
配信先EメールをMFP本体にグループ登録できる機種なら、ワンプッシュ操作で送信できるなど便利だ。電子ドキュメントをEメール配信することで、プッシュ型の社内情報共有といった活用も可能である。議事録や業務上の重要データなど全社員が目を通して共有しておくべき情報の共有に役立ちそうだ。
これと類似機能である「スキャン to Eメール添付」は、スキャン文書を添付したメールを自動的に立ち上げてくれるもの。メッセージ記入や送信先指定などができる点で、前述のスキャン to Eメールと異なっている。
「スキャン to USB」は、スキャンしたドキュメントを直接USBメモリーに保存する。データとして相手にドキュメントを渡してしまいたケースや、外出間際でノートパソコンにデータを保存している時間がない場合などに役立つ。電子文書のハンドリングを効率化してくれる機能である。
また、MFPの「ADF(自動原稿送り装置)」や「両面スキャン」などもスキャン機能と合わせてチェックしたい。
複数枚の文書を自動で原稿台へ送れるADFは、セット可能な最大枚数がある程度は必要。これが少ないとスキャンする文書の量によっては効率が下がるからだ。最近は経費削減から両面印刷されたドキュメントも増えており、両面スキャンはぜひほしい機能といえる。
文書管理ソフトの導入がお勧め
パソコンやFTPサーバーなどに蓄積した電子ドキュメントは、このままでは使いにくい。実際、スキャンしたドキュメントを電子データとして保存しておくだけでは、「保存先が電子文書のゴミ箱となりかねない」ことが理由である。
そこで、ぜひ活用したいのが②文書管理ソフトだ。このソフトには「MFPの標準添付品」と「市販のパッケージソフト」の2種類がある。
前者は文字通り、MFPに同梱されたソフトウエアで主にスキャン操作やドキュメント管理の利便性を高めるもの。電子文書と他のアプリケーションソフトを連動させたり、フォルダごとにドキュメントを管理するといったことができる。
MFPでスキャナーを活用して電子文書管理を実現するには不可欠なソフトだが、検索性に難があるなど社員数が多い企業などでは必ずしも使い勝手がいいとはいえない。個人事業者や数人程度の会社など、扱う文書量がそれほど多くなければ十分に活用できるだろう。
これに対して、市販のパッケージ製品では高い検索性や情報漏えいを防ぐためのセキュリティなど、ドキュメント管理の効率化や利便性をアップする様々な機能が搭載されている。
ラインアップも様々で数百万円もするような本格的なものから、数千円から数万円程度まで揃う。MFPと組み合わせて使うなら、後者の低価格な文書管理ソフトで十分だ。
まずはMFPを活用してドキュメントの電子管理のメリットを感じた上で、業務のワークフローを見直す本格的な電子文書管理を導入するといったステップを踏んでみてはいかがだろうか。
(*1)ネットワーク上でファイルを転送するFTP規格を利用したサーバーで、大容量のファイルを保存できる
全店舗の契約書類を本社で一元管理
多店舗展開している中古バイクの販売会社A社はMFPを活用して、契約書類を本社で一括管理している。従来は各店舗から送られてきたFAXを文書として保存していたが、解像度が低いため署名などが明確に読み取れないケースもあった。そこで、MFPのスキャン機能を利用して契約書を電子ドキュメント化すると共に、「スキャン to」機能やインターネットFAX(*1)などを利用して契約書を本社に送信。これを原本として管理している。
05年4月に施行された「e文書法」によれば、解像度や階調性などは文書の種類により多少の違いはあるが、解像度で300dpi/RGB8ビット、256階調(1677万色)を満たせば原本として扱える。今や、ほとんどのMFPがカラースキャナーに対応し、解像度も300dpiを上回っており、事例のような電子文書管理が十分可能である。
企業によって電子ドキュメント化しやすい文書は様々。まずは、データ化が容易なところから入ることが、電子文書管理を成功させるポイントといえるだろう。
(*1)Eメールアドレスを利用し、インターネット網を介して実現するFAX機能。電話回線を使うPC FAXとは異なる
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