ビジネスプリンター開発のこだわりポイント

商品企画担当者に聞く
プリンター開発のポイント


単体プリンターから複合機、カラーやモノクロ機、異なるプリント出力性能等々——メーカーのプリンター開発の想いを知れば、もっと楽しくかつ的確に機種選びができるはず。そこで今回は、メーカー各社の商品開発・企画担当者に開発ポリシーや技術など、“こだわり”のポイントを聞いた。

 

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エプソン販売
プロダクトマーケティング部 
小野潤司部長


 エプソンの基本思想は、「プリンターとしての使い勝手のよさを追求する」(小野部長)ことだ。長年のプリンター開発で培ってきた画質技術は定評があり、使いやすさを追求することで利便性が高まるからだ。
 これを具現化する考え方が「分散配置と集中管理」である。ユーザー用途に適したプリンターを手元に設置(分散配置)しながら、機器は一元管理(集中管理)しようというもの。
 分散配置には、プリンターの小型化が不可欠。手元に置いて使うにはデスクトップ設置など省スペース性が求められるからだ。この実現のため、感光体ドラムを小径化するなど本体サイズの小型化に取り組む。


 さらに、ラインアップを充実させることも同社の基本的な考え方だ。職種や業務内容により、プリンターに対するニーズは多種多様。「ユーザー用途にマッチした商品を提供していくことも、使いやすさだと考えている」(小野部長)。
 その好例が、新モデル「LP-S6000」と「同5000」である。S6000はカラー印刷の頻度が高い企業向けに、カラーの高速出力と小型化を実現したモデルだ。逆にメインはモノクロで、たまにカラーも使いたいといったユーザー向けがS5000。カラー機ながらモノクロ印刷スピードを重視し、低価格とすることでニーズに応える。


 同社では、様々な技術を適材適所に使い分けこれらを実現している。例えば、カラー機の印刷エンジンでは高速化が容易なタンデム方式が主流だ。これに対し、モノクロの高速化が可能でコストも抑えられる4サイクル方式を採用してS5000を開発した。
 一方、集中管理とは、トナーや用紙などの消耗品の状況や不具合などを管理者が一元的に管理すること。この具現化のため、様々な管理ツールを提供する。
 とはいえ、中小企業などでは管理部門がなく社員が通常業務と兼務している例も多い。そうした企業の手間を削減するサービスとして、同社が管理代行を行なうEDM(エプソン・ドライブ・マネージャー)を提供する。
 社内に独自の品質基準を設けるエプソン。今後も高いユーザビリティを追及していくという。

 

 

 

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沖データ
国内営業本部プリンティングソリューション推進部第一課 
末本輝之課長



 沖データが掲げるプリンター開発の基本思想は「デザイン」と「テクノロジー」——この2つ。「オフィス機器としてのユーザビリティと高性能を、様々なビジネスシーンで快適に使えること追及している」(末本課長)。
 まずデザインでは、「スマート(直感的)」「シンプル(すっきり)」「ソリッド(信頼できる)」の頭文字を取った「S3(エスキューブ)」と呼ぶガイドラインを設けている。外観のデザイン性もさることながら、操作性や使いやすさといったポイントを重視した考え方だ。


 その一例が、本体から排気口をなくしたこと。すっきりした外観、排気口を気にせず配置できる自由なレイアウトを実現した。さらに、ユーザーが操作で手を触れる部分に丸みを持たせるなど、細部にまでこだわった扱いやすさに配慮するなど実用性を重視したデザイン性を追及する。この実現のため、機能とコスト先行で開発される傾向のオフィス機器において、「デザインありき」で取り組む。
 一方、テクノロジーについて、同社が重視するのは画質だ。そのこだわり抜いた品質の高さは、デザイン会社などで多く導入されている事実が物語っている。


 これを実現しているのが、「LEDプリントヘッド」「シングルパス」「マイクロファイントナー」の3つのコア技術だ。LEDプリントヘッドは、印刷イメージを描く光源に一般的なレーザーではなく、発光ダイオード(LED)を採用した方式。レーザーに比べ照射径が半分以下なので、より高精細な文字や画像を描画可能だ。内部構造をシンプルにできるので小型・軽量化も図りやすい。
 高速出力と送紙の安定性を高めるシングルパス技術や、繊細な描画を実現するマイクロファイントナーとあいまって高精細で鮮明な色再現を実現している。


 デザイン&テクノロジーという2つの基本思想を具現化したのが、A4カラー機「C3400n」。国内外でデザイン性などが高く評価されている。
  「画像品質でプレゼンテーションの印象は変わるもの。説得力を高めるためにも、当社のプリンターで気軽に高画質を使ってほしい」(末本課長)と想いを語る。

 

 

 

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キヤノンマーケティングジャパン
ビジネスプロダクト企画本部ページプリンタ商品企画部
ページプリンタ商品企画課 遠藤秀和課長



 キヤノンの基本的な開発思想は「トレンド機能の実現」だ。「印刷スピードや画質は、どのメーカー製品でも十分なレベルとなった。他社にはない利便性を提供するには、プリンターに対してユーザーが求める関心ごとを付加機能や性能として、いかに実現していくかが重要」(遠藤課長)と考えているからである。
 現在のキーワードは「環境」。かつては大手だけの関心ごとだったが、今では中小企業も注目している。その最たる例が使用電力や待機電力だという。環境だけでなく、電力コストにも関わるだけに企業の関心も高い。


 だが、レーザープリンターは熱でトナーを定着させるため、電力を使うほど高速性や使い勝手を向上できる。つまり、使い勝手と低消費電力化は相反するもの。そうした中、「いかに使い勝手を落とさずに電力カットを実現するかが課題だった」(同前)という。
 実際、同社のプリンターは低消費電力ながら、待機から稼動状態となるまでの時間を表すウォームアップタイムで“0秒”という機動性を誇る。


 これを具現化した技術が、独自開発した「オンデマンド定着方式」だ。記録用紙が通過する瞬間に、紙と接触する部分だけを過熱するのでウォームアップが不要であり、スタンバイ時に予熱する必要もないので余分な電力消費をカットできる。
 低消費電力化の考え方は「時計機能」にも盛り込まれている。これはスタンバイやレディといったプリンターの稼動状態を細かな時間指定により、スケジューリングできるもの。トレンド実現のため、徹底的にこだわることも同社の姿勢である。


 また、プリンターではコンパクト化やフロントオペレーションなども主流となりつつあるが、キヤノンでは早い時期から実現に取り組んできたポイントだ。
 例えば、小型化や操作性を実現するため、いち早く「デザインありき」の設計手法を導入。2000年以前から3D CADを使った「試作レス開発」に本格的に取り組んでいる。
 この他、用紙の種類により排出先を変えられる「2way排紙」。トナーやドラムをセッティングした状態での出荷など、様々なユーザー本位の利便性を日々追求している。

 



 

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コニカミノルタビジネスソリューションズ
事業統括室商品企画部 
西瀬英哉部長



 コニカミノルタが掲げるプリンター開発の基本コンセプトは、「先進性の実現」である。
  「コニカとミノルタが統合して、4年余り。高速機はコニカ、カラーはミノルタというように開発コンセプトを引きずってきたが、コニカミノルタのポジションを、先進的で提案力が高い製品を市場に提供していくこととした」(西瀬部長)。


 同社がいう先進性とは「他社にはない独自のコンセプトで利便性を追求する」こと。新技術や考え方を、いち早く取り入れるジャンルトップ戦略を展開していくという。
 この思想を具現化し同社としての方向性を初めて示したモデルが、新製品「bizhub c353/253/203」の3ラインアップだ。
 オフィス向けでは珍しいブラックボディにホワイトライン(白色線)を施した独特のデザインを持つ。ホワイトラインはインフォメーションラインともいい、この線上に操作系機能を集約することで使い勝手を向上させる工夫である。


 ネットワークも標準装備し、スキャン to E-mail/FTP/BOXなど様々なスキャン機能や、1度の操作で同報を可能とする「ユニバーサル機能」を搭載。この他、指紋認証やICカード対応、毎分70枚の高速スキャン読み取り機能、可動式のプレビュー機能付大型カラータッチパネルといった多彩な先進技術を新モデルに盛り込んでいる。
 また、コピー機メーカーとしてスタートしているだけに、メンテナンスもフルサポートの思想を持ち、この考え方は今後も継承していく。


 具体的には、遠隔からの診断サービスだ。複合機の電話回線やPHS装置などを利用して、ユーザーの機器を離れた場所から管理。定期訪問やエラー発生時の対応などで役立てる。保守契約の一部として、これらのサービスを提供している。
  「困った時には任せてもらえるようなサポートシステムを提供することが、メンテナンスについての当社ポリシーである」と西瀬部長。先進性と充実したサポートで、ユーザーへ利便性の高いドキュメントシステム環境を提供していく。
(*1)一部機種を除く

 

 

 

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ブラザー販売
情報機器事業部マーケティング推進部商品企画G 
大澤敏明担当部長



 ブラザーが掲げるプリンター開発の基本思想は、「コンパクト」と「ラインアップの充実」だ。
 この背景には、「SOHOや小規模事業者、企業のワークグループなど省スペース性が求められている様々なシーンに、ジャストフィットする製品を届けたい」(大沢部長)との願いが込められている。
 今回、新たに“JUSTIO(ジャスティオ)”というブランドネームを打ち出したのも、このコンセプトをメッセージとして市場へ明確に伝えることが狙いであるという。


  「コンパクト」の追求では、特に高さの小型化にこだわっている。本体のサイズが低ければ、例えばデスクトップに設置して椅子に座ったままでも使えるなど、高い操作性を実現できるからだ。
 この思想が、最も具現化されているモデルが新製品「MFC-9440CN」。高さ世界最小(*1)48.2cm、フロントオペレーションを採用したA4カラーレーザー複合機である。


 カラー印刷の高速化が容易なタンデムエンジンを水平搭載する技術により高さを抑制した。「消耗品交換を複合機の上部を開いて行なうことはユーザビリティが悪い。カラー複合機でも前面操作のフロントオペレーションを実現したい」(同前)と、コンパクトと操作性を両立させた。
 カラーはモノクロ以上に精度が重要。コア・パーツの印刷エンジンを引き出して正確に元に戻す動作を実現するため、設計的にかなり苦労したという。
 一方、「ラインアップの充実」という考え方は、「千差万別のユーザーニーズに対応するには、それに合わせた製品をしっかりと提供していくことが不可欠」との想いから生まれた。


 現在、JUSTIOシリーズとして複合機11モデル、プリンター7モデルの計18機種を用意し、高機能からスタンダード、超コンパクトなど様々な用途から選べる。
 カラー機だけでなく、モノクロにも注力。「モノクロはこれからも進化していくし、カラー同様にテコ入れすることで、幅広いビジネスニーズに対応したい。それがJUSTIOの思想だから」と大沢部長は語る。

 

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