ブッ飛び税理士の耳より税金コラム(4)~遺産相続/井上一生

 

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税理士法人しんわ経営会計 代表社員(税理士・行政書士)
井上一生


遺産相続3つのケース
あなたなら、どれを選びますか?



 税理士という職業柄、これまで多くの遺産相続に関わってきました。被相続人の意志通りにことが運び、残された遺族が全員納得の上で相続が終われば、一番ハッピーです。
 しかしながら、こうスムーズにいかないのが遺産相続の難しいところ。複数の法定相続人がそれぞれの主張をぶつけ合うというシーンに、これまで何度も直面しました。中には血縁者同士の「争族」に発展するケースもあります。

 そうならないためには、やはり亡くなる人が、生前にきちんと準備することが大切です。
 今回は私が直面した3つの遺産相続の事例を紹介しましょう。あなたにとっては、どのケースが理想的なのか、考えてみてください。



ケース1
貯金を取り崩し兄弟に代償分割


 「親から相続する財産なんて自宅の土地、建物だけだし、税金の心配なし。大丈夫!」と安心していたAさん。Aさんには姉と弟がいましたが、二人とも結婚して県外に住んでいました。
 長男であるAさんは結婚して両親と同居しており、自宅の土地、建物は当然自分が引き継ぐものと考えていました。

 しかし、お父さんが亡くなった後、お母さんも亡くなり、いざ相続となってみたら、姉と弟はそれぞれ1/3ずつの法定相続分を主張したのです。とりわけ仲が悪い兄弟ではなかったのですが、誰でももらえるものはほしいということなのでしょう。
 誰でも住宅ローンはありますし、子供を高校や大学に入れていれば、家計は楽なわけはありません。なぜならそれぞれのご兄弟には、亡くなった方とは他人である配偶者が一緒にいらっしゃいます。そのようなものです。

 幸い二人はAさんが土地、建物を相続することに同意してくれました。しかし、代わりに相続分を現金で払ってほしいと希望したのです。土地、建物の価格は1500万円、相続財産に現金はほとんどなかったので、結局Aさんは自分の預貯金を取り崩し、現金500万円ずつを代償分割として支払うことになったのでした。
 



ケース2
もめることの多い長男の総取り


 相続税の申告の仕事をしていますと、長男がほとんどの財産をもっていきたがる、というケースが多いです。「このような分割は後でもめますよ」と税理士である私が何度もいっても、「うちは大丈夫。妹は説得してある。あいつは出戻りで俺が面倒見ているから、大丈夫だよ」。
 そのたびに「あーあ、またか」と思うのですが、大抵は「これで進めて」との一点張りです。

 そこで、分割協議書(行政書士業務)と相続税申告書(税理士業務)を作成完了して、ご兄妹で捺印の段に相成ります。 私が状況を説明した後、妹さんが開口一番、こういいます。
 「アンちゃん。今まで我慢してきたけど。法律ではアンちゃんも、私も平等だって聞いたよ。私も死んだ母さんの面倒をしっかり見させてもらったし、私もこの年で一人で生きてくからには、しっかり分けてもらうよ」とぴしゃり!

 はいはい。案の定、始まりました。予想通り! だからあんなにいったじゃない。「うちは特別……」という人ほど「本当は甘い」と内心の私。これで申告は2カ月ほど遅れて、始めから作り直し。 結局、この方の話は、まとまったからよかったのですが。
 遺産分割協議がまとまらなければ、相続財産の口座は銀行側が凍結します。引き出せません。長男が「仕方なく自分個人の預金で相続税や葬儀費用を立て替え支払い」なんてケースが多いのです。
 何年も相続財産の預貯金を動かせないという実例は、たくさんあります。だから海外口座を私たちはお勧めするんですが。

 第一、分割協議書も完成せず相続税の申告をすると、配偶者がいる場合には、配偶者の課税猶予枠の免税特典も使えません。
 結局、もめて喜ぶのは、税務署さんと仕事ができる弁護士さんだけなのです。
 



ケース3
生前贈与を賢く使い兄弟が納得


 最後はケース1のAさんとは異なり、「相続財産なんて自宅の土地、建物だけだし、税金の心配なし。大丈夫!」などと安心してはいなかったケースです。
 中野区にお住まいの賢いお母さんBさん。Bさんには息子さんとお嬢さんがいましたが、息子さんは結婚して外に家を買って住んでいました。
 娘さんは結婚してBさんと同居しており、Bさんの財産は自宅の土地、建物と現金800万円しかありません。賢明なBさんは「将来、兄弟がもめたら困るな」と考えていました。
 そこで、私どもの一計で、生前に戦略的な対応を実行しました。

もめさせない。被相続人(この事例ではBさん)の目の黒いうちに、もめ事の芽を摘みます。そして分割協議書を捺印させる強制的な手段を用います。

 もめさせないのです。そのためには被相続人の目の黒いうちに、もめ事の芽を摘んでしまうのです。そして、自分が死んだ後、自分が納得できる財産分与。それを反映させた分割協議書に捺印させる、死後の強制的な手段を実行します。
 実はBさんは、息子の嫁とは馬があいません。一方で娘の婿(マスオさん)は、同居してくれて面倒を見てくれています。

 息子夫婦は、子供を高校、大学に通わせていて、かつ住宅ローンを払っているため、家計に余裕はありません。そこで、相続時精算課税制度の生前贈与を使って、500万円の現金を息子に今贈与します。
 その代わりに、相続放棄の念書を書かせ、相続遺留分放棄を家庭裁判所に申し立てさせます。自分の面倒を見てくれた娘夫婦に一緒に住んだ家を相続させます。もちろん遺言は「公正証書遺言」にします。あわせて遺言執行者を私どもに選任してくださいました。

 その後、Bさんは、お婿さんご自身がローンを組んで、Bさん所有の敷地に、Bさんの希望の二世代住宅を建て替えられ、今もご健在で幸せな老後を送られています。
 いかがでしょうか。皆さんなら、どのケースを選ばれるでしょうか。


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「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」
                                                             の対策について


 オーナー会社がオーナー役員に対して支給する給与の額のうち、給与所得控除額(給与収入のうち概算の経費相当分として控除される金額)に相当する部分の金額に法人税をかけるという税法の新しい規定を以前ご説明しました。

 オーナー会社の利益(基準所得金額=法人の利益+オーナーの役員報酬)が一定額以上である場合、この規定は適用されます。

 対策案は、いくつかありますが、代表的なものは「同族関係者等の株式を90%未満にする」というものです。つまり、自社の株式を他人に11%以上持ってもらうということです。
 その具体策として、共同して持ち株をする会社など様々な対策が、世間ではなされているようです。ご興味がある方は、直接下記メールアドレスまでお問い合わせください。ご相談に乗ります。
井上一生 issey@kss-g.com

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