「薄型大画面テレビ」を極める! 最新モデルを理解する6大キーワード

薄型大画面テレビを極める!

最新モデルを理解する6つのキーワード


 「より美しく、より使いやすく、より楽しく」−−。薄型大画面テレビの07年ニューモデルは、こうした方向性を鮮明に打ち出している。これはデジタル時代におけるテレビの、新たな役割を示すものといえるだろう。
 これに伴い、新たな機能や技術が相次ぎ登場。市場を賑わせている。こうした新機能・新技術の中から特に注目すべき6つのキーワードを解説しよう。そして薄型大画面テレビが持つ、未来に向けた可能性を探ってみたい。

キーワード
№1「倍速液晶パネル」
№2「動画解像度」
№3「HDMIコントロール」
№4「内蔵HDDレコーダー」
№5「10bit液晶パネル」
№6「内蔵音響システム」

※本キーワードを搭載する各社のモデル名・型番等については、各社のホームページやカタログを参照してほしい。




キーワード№1
「倍速液晶パネル」

 液晶テレビのキーワードで今年一番の注目株は「倍速液晶パネル」だろう。これは液晶パネルの課題とされてきた、動きの速いシーンや横に流れるテロップなどの残像感を、大幅に低減する技術だ。シャープ、ソニー、ビクター、パナソニック、日立などが相次ぎ採用モデルを発表。多くのメーカー関係者が「もはや無視できない技術」と口を揃える。

 そもそもテレビ放送は、1秒間に60コマの連続した静止画像信号を送っている。テレビはこの信号を、60分の1秒(16.7msec)ずつ連続表示することで、パラパラ漫画のように動画として再生する。この原理は、液晶テレビでもプラズマテレビでも同様だ。ではなぜ、液晶テレビには残像感があるのだろうか。
 液晶テレビは送られてきた静止画を、60分の1秒間表示し続け、それから次の静止画に切り替えている(ホールド表示)。この僅かな時間のホールドが、人の目には残像感となりやすいわけだ。

 プラズマテレビにこうした現象が現れないのは、ホールド表示ではないからだ。パネルを構成する画素は点滅発光しており、1枚の静止画を表示した次の瞬間には、すべての画素が発光をやめ、画面が暗くなる。それから次の静止画を表示する(発光する)というサイクルを繰り返しているため、残像感が課題にならないのである。
 液晶テレビの倍速技術は、ホールド時間の短縮で残像感を軽減するもの。基本的には静止画の表示枚数を1秒間に60コマから120コマへと倍増し、ホールド時間を半減している。

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△ソニーの倍速技術「モーションフロー」の分解画像
(ソニーBRAVIAカタログより抜粋)


 倍速技術には現状、「中間画像補間型」と「黒画面挿入型」の2タイプがある。
 「中間画像補間型」とは、テレビ信号の60コマ/秒の静止画に対し、1コマ目と2コマ目の中間、2コマ目と3コマ目の中間というように、各コマの中間部に、時間軸の動きを計算した新たなコマを作成して挿入。1秒間に120コマの静止画として表示している。

 1コマのホールド時間が120分の1秒(約8.4msec)に半減するため、人の目に残りにくく、しかも補間された新たな画像が、より滑らかな動画再生を実現する(写真1)。
 シャープやソニー、パナソニックやビクターがこのタイプを採用。ただし、補間する静止画は、各社独自のアルゴリズム(計算方法)により作り出される。ここが技術上の違いとなるだけに、同じシーンで見比べてみることをお勧めする。

 一方の「黒画面挿入型」とは、基本的に各コマの中間に黒い画面を挿入して120コマを表示する技術。こちらもホールド時間を半減するが、一度暗くしてから次のコマを表示するという意味で、プラズマの原理に近いといえよう。現状では日立が採用している。

 ただし、この技術には画面全体が暗くなるという課題があった。そこで日立では、60コマで送られてきた放送信号について、1コマごとの画像データを2コマに分けている。そして、1コマを原画像より明るい画像とし、もう1コマには黒データを含む暗い画像を割り当てて、120コマとして表示。明暗の画像を交互に表示することで、明るさを確保しつつ残像感を軽減している。


キーワード№2
「動画解像度」

 

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 これも昨年末から見かける機会が増えたキーワードだ。カタログ等では「900本以上」などと表記されている(右の画像)。
 動画解像度とは、昨年秋に次世代PDP開発センター(APDC)が策定した、薄型テレビの表示性能を示す新たな指標だ。解像度といえば、今は画素数で表すことが一般的だ。フルハイビジョンテレビの定義も、水平1920×垂直1080という画素数である。

  「しかし、これは静止画を表示した際の解像度。テレビは動画表示を主体とするだけに、動画の解像度を客観的に示す指標が新たに必要」とパナソニックでは話している。
 その測定方法は簡単にいえば次の通り。テストチャート画面を、テレビ画面の端から端まで5秒間横移動させ、その際、チャートに書かれた垂直の線が何本見えるかというもの。パナソニックや日立のカタログによれば、

  ・フルハイビジョンプラズマ/900本以上
  ・ハイビジョンプラズマ/720本以上
  ・フルハイビジョン倍速液晶/600本以上
 ・ハイビジョン液晶/300本以上(ハイビジョン液晶はパナソニック製品、それ以外は日立製品)

 これを見た限りでは、現時点での動画解像度はプラズマの方が高い。
 しかしながら、液晶主体のメーカーからは「測定方法がプラズマに有利」との声が多く聞かれ、中には「業界団体で統一した公平な指標ではない。うちは無視している」と断言するメーカーもある。

 実際、APDCはパナソニック、日立、パイオニアのプラズマ3社が協同出資して設立した会社であり、カタログ等に動画解像度を表記しているのも現状はこの3社のみ。液晶を主力とするメーカーがこの指標を採用することは、かなり難しい情勢といえるだろう。
 一般論でいえば、動画性能を客観的に示す統一指標があった方が、ユーザーの選択肢が広がることは確かだ。だが、APDCの指標がそうなるかは、まだ未知数。パナソニックでは「ライフスタイルに合わせたテレビを選ぶための提案。指標の1つとして動画解像度があることを認識してほしい」と語っている。

 


キーワード№3
「HDMIコントロール」

 カタログでは「ビエラ・リンク」(パナソニック)や「AQUOSファミリンク」(シャープ)など各社個有にネーミングされている。各社の指定機種同士であれば、テレビ、レコーダー、シアターラックなどをHDMIケーブル接続することにより、電源オン・オフや入力切替、音量調整などが1つのリモコンで操作可能になる機能である。
 そもそもHDMIとは、02年に策定されたAV機器向けのデジタル映像・音声入出力規格だ。基本的にはHDMIケーブル1本で、映像・音声・制御信号を送受信する。

 シャープやパナソニック以外のメーカーも、HDMI端子を装備するテレビを拡充している。だが、これは現状、映像と音声の信号をレコーダーなどとやり取りするためのもの。HDMIコントロールについては、ソニーがシアターラックとの連携を発表したものの、各社とも本格展開はこの秋以降という情勢だ。
 映像・音声信号のやり取りだけについては、HDMI端子搭載モデルであればメーカー各社で互換性を持っている。

 しかしHDMI規格では、制御信号のやり取りのみオプションとなっており、ビエラリンクやAQUOSファミリンクはこの信号を応用して、自社独自の機器間連携機能として打ち出したのだ。HDMIコントロールの対応を自社の指定商品に限定しているのはこのためだ。メーカーごとで操作手順も異なる。
 例えば見ている番組を急に録画したくなった場合、AQUOSファミリンクではリモコンの録画ボタンを押すだけで、レコーダーの電源が入り、見ている番組と同じ番組を選局して録画を開始する。この間、約2秒という迅速さである。

 レコーダーの再生も、リモコンの再生ボタンを押すだけで、テレビの電源が入り、レコーダー画面に自動的に切り替わって再生を開始する。「テレビとレコーダーの一体化を目指した」(シャープ)という。
 一方のビエラリンクは、見ている番組を録画する場合、リモコンのビエラリンクボタンを押し、画面に現れたメニューから「見ている番組を録画」を選ぶという手順となる(その間約3秒)。再生なども同様である。また、DVDソフトの再生では、レコーダーのトレーにディスクをセットするだけでテレビの電源が入り、再生を開始する。

 パナソニックの場合、ビエラリンクを拡大解釈し、SDカードなどとの連携も強化し始めている。デジタルカードムービーでハイビジョン撮影したSDカードや、デジタルカメラで撮影したSDカードを、テレビのスロットに挿入するだけで簡単に再生可能だ。パナソニックでは「見るだけのテレビから使うテレビへの提案。誰でも簡単に操作できることがポイント」と話している。

 シャープでもAQUOSファミリンクの新機能として、IrSS(高速赤外線通信)対応の携帯電話やデジカメで撮影した画像を、レコーダーやテレビに無線転送し、大画面で楽しむことを提案している。
 HDMIを基軸にスタートした機器間連携機能だが、今後は別の技術や規格を応用しながら、さらに利便性を高めることになりそうだ。

 


キーワード№4
「内蔵HDDレコーダー」

 HDD(ハードディスク)レコーダー内蔵モデルは簡単・迅速に録画再生できることや、レコーダーの設置場所や配線が不要なことなどが特徴だ。しかしながら、録画容量を増やせないことや、録画番組をライブラリーとして保存することが難しいなどの課題もあった。
 そこで日立や東芝は、そのクリアを目指した新たな技術を採用している。
 

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 まず日立が採用したのは「iVポケット」だ。これは内蔵HDDレコーダー以外に、着脱可能なカートリッジ式HDDスロットを搭載するもの。どちらのHDDも著作権保護技術を搭載した新HDD規格「iVDR-S」に対応。これにより、内蔵HDDと別売りカートリッジ(写真3)の間で、録画した映像データのムーブ(移動)が自由に何度でも可能になった。

 しかも、内蔵HDDから画像をムーブさせたカートリッジを、他のiVDR-S対応機器で再生したり、ムーブすることもできる。例えばコピーワンスのデジタルハイビジョン放送の場合、ブルーレイディスクへムーブした映像データは、そのディスクからさらに他のメディアへムーブすることはできない。

 しかし、iVDR-S同士であれば、何度でもムーブできる。しかも、転送速度も速く、地デジ・ハイビジョン放送であれば約6倍速でのムーブが可能だ。これなら内蔵HDDの容量を気にせずに録画でき、映像データをシリーズごとや所有者ごとなどのiVDR-Sカセットに分けてライブラリー保存が可能だ。
 日立では「見るかどうかは分からないが、取りあえず録画するというユーザーが増えてきた。そんな視聴スタイルにiVポケットは最適」と話している。

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 一方、東芝も内蔵HDDの容量問題に増設HDDで対応した。「HDDプラス」と呼ぶこの機能の特徴は、市販の大容量eSATA対応HDD(写真4)の接続が可能ということだ。内蔵HDDに録画した映像を、増設HDDにムーブしてライブラリー保存することなどが可能になった(増設HDDへの直接録画はできない)。
 eSATAとは外付けHDDを接続するための新規格で、USB2.0に比べて転送速度が速く、今後パソコンの世界では急速に普及すると見られている。

 東芝のHDDレコーダー内蔵テレビは、パソコン向けに市販される各種のeSATA対応HDDを流用できるため(接続確認済み機器は順次同社WEBサイトで公表)、汎用品のメリットである価格の安さや容量の多彩さなどが期待できる。ムーブの転送速度も「60分の地デジ・ハイビジョン放送なら約10分が目安」とされるだけに高速だ。

 増設HDDとして利用するには、テレビへの登録(最大4台まで)が必要だ。最初に登録したテレビ以外での再生ができないなどの制約もあるが、東芝では「見逃したくない番組を簡単操作で録画し、後からじっくり見たいというユーザーに、HDD容量を気にせずどんどん使ってほしい」と話している。
 HDDレコーダーはその構造上、寿命がある。東芝の場合は、万が一の際にはユーザー自身で交換できる交換用HDDユニットを発売していることも安心だろう。

写真右上:別売りカートリッジ(写真は日立マクセル製ハードディスク アイヴィ)
写真左下:レグザとの接続確認済みeSATA対応HDD「アイ・オー・データ機器製RHD-UX」

 


キーワード№5
「10BIT液晶パネル」

 これも、この春の新製品から見られ始めた液晶テレビの新キーワードだ。ソニー、三菱、ビクターがニューモデルで採用している。
 これまでの主力である8BITパネルとの違いは階調表現力で、10bitパネルは、8bitパネル比で約64倍の階調表現力を持っている(三菱は約4倍と表現しているが、これはRGBの1色当たりで比較しているため。3色での比較は4×4×4=64倍となる)。

 階調表現力が拡大したことのメリットを、ソニーでは「グラデーションの滑らかさが大きく進化した」といい、「夕焼けや虹などの微妙な色合いを、よりリアルに再現可能になった」と話している(写真5)。
 また、三菱では「これまで各社は、高画質エンジンの開発を競い合ってきた。しかし、その性能をフルに発揮するためには、色の最終出口であるパネルの性能が重要。10bitパネルは、これから不可欠の技術になるはず」と語っている。
 微妙な色合いを重視するユーザーにとっては、10bitパネルは見逃せないポイントといえそうだ。

20usugata05.jpg△従来パネル(左)と10bitパネル(右)の階調表現力の違い(ソニーBRAVIAカタログより抜粋)

 


キーワード№6
「内蔵音響システム」

 薄型テレビとシアターシステムを組み合わせて購入するユーザーが増えている。デジタルハイビジョン放送は画質だけでなく、優れた音質を楽しむことができるからだ。
 そこで、テレビの内蔵スピーカーだけで、シアターに近い立体的な音場を作り出す機能が各社から登場し始めた。中でもカタログ等で大きく訴求しているのは、ビクターや三菱である。
 まずビクターがニューモデルで搭載したのは「MaxxAudio(マックスオーディオ)」だ。従来から同社ではMaxxBassを搭載していた。これはDVDソフトに記録されている重低音を再現するため、音響心理学に基づいて演算し、低音の音質を向上する機能。

 MaxxAudioはこれを進化させ、MaxxTreble(より高質な高音部の設定が可能)、MaxxStereo(音を左右に広げ自然な広がり感を演出)、MaxxVolume(入力の大きい信号をコントロールする)により、部屋の環境等に応じた臨場感ある音場作りを実現する。
 ビクターでは「例えば深夜のマンションでも、振動などを気にせずに、迫力の重低音で映画やスポーツを楽しめる」と話している。

 一方、三菱の「DIATONEサラウンド5.1」は、内蔵スピーカーでサラウンド感を再現する機能。これはテレビ本体下部の左右両側に、2個ずつのスピーカーを設置。2つのうち、内側のスピーカーは、外側のスピーカーから出る音を内側に入り込ませない特殊な音を出すという。
 簡単にいえば、右スピーカーの音は左耳に入りにくくし、左スピーカーの音を右耳に入りにくくすることで、音が部屋の左右から回り込んでくるような、立体的な音場を作り出す。同様の効果は、通常のヘッドフォンで聞いても得られるとのこと。

 三菱では「ぜひとも試聴して、その違いを体感していただきたい」と話す。
 確かに音の評価は、実際に聴いて初めて分かるもの。ビクターや三菱以外のメーカーも強化しているだけに、ぜひとも店頭で聞き比べたいポイントである。

 

 

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