10月1日スタート 「緊急地震速報」とは何か?
今秋スタート「緊急地震速報」
被害拡大の抑制に向け
地震の到来を事前警告
地震の到来を事前警告する「緊急地震速報」配信が10月1日から始まる。テレビ、携帯電話等を使った一般向け配信に加え、専用端末を使う有償サービスもスタートする。速報の効果的な活用で、被害に遭うリスクを軽減できる。
「来る来る」といわれる東海地震。想定震源から200kmほど離れた東京でも震度5以上となり、大被害の発生も見込まれる。ただ、仮に起こったとしても、住民に対し「40秒前」に地震到来が警告されたら、被害はかなり抑えられるのではないか。
これは技術的に可能なことだ。気象庁が10月1日から正式スタートする「緊急地震速報」配信により、地震の発生予告がいよいよ本格化するからだ。
現在でも、地震が起こるとほぼ同時にテレビなどで「震度速報」(各地域での震度実測値)が文字スーパーで流れる。だが、今回始まる緊急地震速報は「地震の到来を事前に知らせるもの」だ。
地震には、先に伝わる微動の「P波」と本格的な揺れをもたらす「S波」があり、震源近くの地震計で先に検知したP波から後に続くS波の伝わり方を解析。震度4以上の「強い揺れ」が予想される地域を特定し、警告情報を発信するのだ。
S波の速度は4km/秒ほど。冒頭の東海地震でいえば、想定震源から200km離れた東京まで到達するのに約50秒かかる。地震波の検知、解析、情報発信などに必要な時間を差し引いても「計算上は、緊急地震速報が流れる時点で、東京で揺れが起こるまでに40秒ぐらいの余裕がある」(気象庁総務部企画課の防災企画調整官・土井恵治氏)という。
つまり、震源から距離に応じて、緊急地震速報が出てから実際に揺れるまでの時間が決まる。震源に近いと時間が短いが、そのわずかな時間でも有効に使い、机の下に隠れる、倒壊しやすいものから離れるなどの対処ができれば、被害に遭うリスクは減らせるだろう。
△「緊急地震速報」配信の仕組み
2つの地震警告情報
緊急地震速報は、強い揺れが予想される地域のみを列記した「要約情報」と、地域別に揺れが起こるまでの時間や震度を予測した「詳細情報」の2つのデータを発信する。これらは、どのように伝わるのか。
配信方法は大きく2通りだ。①「テレビなどを通じ、不特定多数の市民に伝えるもの」と②「データ配信事業者が受信し、これを特定の契約者へ伝えるもの」だ。
まず①「市民への配信」は、既存の震度速報と同様にテレビ・ラジオなどの放送媒体を使う。基本的には、前述した要約情報が、そのまま放送される見通しだ。
例えば「新潟県で地震:強い揺れの地域 福島 関東 北陸 長野」(04年の新潟県中越地震をモデルケースした表示)といった大ぐくりな表現になる。この場合、長野と福島で同時に緊急地震速報が流れても、揺れが起こる時間は違い、震度も異なるかもしれない。だが「広域の不特定多数に伝達する以上、詳細情報より、まずは注意喚起が重要」なのだ。
また、携帯電話による配信も始まる。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルは、それぞれ緊急地震速報に対応した新システムを開発。強い揺れが予想された特定エリアの携帯電話へ一斉同報するサービスを始める(ドコモは年内、KDDIは来春、ソフトバンクは08年度中に開始予定)。気象庁の土井氏も「テレビなどに比べ、より多くの人へ確実に伝わる携帯電話に期待している」と話す。
ただ、不特定多数の市民へ広く緊急地震速報を伝えることの不安もある。例えば、地下街などで速報を聞いた人々がパニックになり、出口に殺到するなどの事態だ。そのため気象庁では、「地震に対する心構えを促し、『地下の方が揺れは小さい』など正しい情報を周知徹底させる」(同氏)という。
詳細情報を有料配信
一方、気象庁が発信する緊急地震速報の詳細情報を活用する②「データ配信サービス」を手掛ける企業も30社近く誕生している(「緊急地震速報利用協議会」のホームページで事業者が紹介されている=http://www.eewrk.org/katsudo.htm)。
配信サービスは通常、次のような仕組みになっている。
契約者ごとに専用受信端末を設置し、位置や地域特性(揺れやすさなど)など契約者固有の情報をプログラムに設定しておく。そして地震が発生し、気象庁が緊急地震速報(詳細情報)を発信すると、それを事業者がインターネットや衛星回線を経由して各端末へ配信。プログラムによって契約者に合わせた警告情報を発する。先の例でいえば、テレビなどでは「強い揺れの地域 福島 関東 北陸 長野」としか知らされないが、配信サービスでは「あと×秒で震度△の地震発生」といった具体的な警告情報が得られる。
こうした配信サービスは、受信端末で数万円以上(買い取り)、サービス料金で月額数千円以上かかる見込みだ。そのため、当面は個人よりも企業、学校・病院など公共施設が社員や利用者の安全を守り、「事業継続性」(災害被害を最小限に食い止め、事業をできる限り通常通り継続すること)を高めるために利用することが多いだろう。
特に期待されているのは、受信端末と各種システムをネットワークで結び、緊急地震速報に基づいて自動的に各種システムを制御すること。
例えば、エレベーターでは、緊急地震速報により基準値以上の揺れが見込まれる場合、あらかじめ最寄り階で停止、ドアを開く自動制御が一般的になってくるだろう。現在は、実際に揺れを検知してから緊急停止するため、エレベーターの中に人が閉じ込められることもある。
また、工場などでも設備を自動停止したり、逆に、医療機器などの止められないシステムに対しは、あらかじめバックアップ装置を可動させるなどの制御もあり得るだろう。こうしたシステム制御は、新幹線が自前で導入しているが、一般企業でも低コストで利用可能になる。
ただし、緊急地震速報のデータ配信事業は許認可制ではなく、事業者が自由に営むもの。「事業者によって予想値が(気象庁と)大きく異なることはないと思うが、利用者が個々のサービスを見極め、自らのリスクで契約してもらうことになる」(土井氏)という点に注意が必要だ。
そして肝心なことは、揺れが起きるまでの限られた時間に、どう対処するかだ。個人なら地震速報に応じてどう行動するかの心構えを持つ。企業なら対応手順を明確化しておくなど。緊急地震速報が始まる今こそ「備えあれば憂いなし」である。
ヤマダ電機で取り扱い開始予定
「デジタルなまず」とは?

デジタルなまずは、緊急地震速報を使った3softジャパンの警告サービスだ。気象庁からの発信情報を同社サーバーで受信し、そこから契約者の専用端末「デジタルなまず」へ配信。デジタルなまずが瞬時に計算して、到着秒数や予想震度を音声や電光表示で知らせる。ヤマダ電機法人営業部でも取り扱う予定だ。システムの詳細は下記URLまで。
http://www.3soft.co.jp/





