自社に最適のマシンを選ぶ! 「ビジネスPC」完全ガイド
自社に最適のマシンを選ぶ!
「ビジネスPC」完全ガイド
パソコンの購入といえば、企業も店頭に並んだ組み上がったモデルを購入するケースが少なくない。だが、これらは基本的にコンシューマー向け。
ビジネスに使うには、物足りなさや不都合を感じることもあるはず。そこで注目したいのが、“ビジネスPC”だ。
今回は、ビジネスPCを基礎から徹底解説しよう。
ビジネスPCは、コンシューマー向けのパソコン(以下コンシューマーPC)と何が違うのか。
まず、コンシューマーPCとは基本的に、個人や家族が日常生活でパソコンを活用し楽しむことがメイン用途である。このため、家庭での利用に便利な機能やアプリケーションソフトなどが搭載されている。
量販店やPCショップなど、店頭に並ぶラインナップの数々は、大半がコンシューマーPCだ。これをビジネス用に購入した場合、業務には関係ない機能やソフトまでついてくる。
これに対し、ビジネスPCは文字通り仕事で使うことが目的だ。一般的なビジネス用途には不要な機能やアプリケーションソフトを省いた、OSだけのシンプルな構成となっている。企業のニーズや予算に応じて、構成変更やパーツの追加などにも対応する。
ビジネスで活用するなら、業務に最適なモデルを選べるビジネスPCがお勧めなのだ。
BTOが最大のポイント
ビジネスPCの特徴を、コンシューマーPCと比べながら、もう少し詳しく見てみよう。具体的な違いは表にある通り。
最大の相違ポイントは、BTOへの対応可否だ。これは、メモリーやドライブなどパソコンのパーツ構成を変更・追加できること。いわゆるカスタマイズのことで、ビジネスPCではフルカスタムに近いものから簡易カスタムまで、柔軟なBTOに対応。この結果、ニーズや予算に応じたモデルを自由に選定できるわけだ(*1)。
最初から組み上がったコンシューマーPCは、カスタマイズには対応していないといってもいい。一部、メモリーなどの増設は可能だが、それ以外については仕様変更が難しい。
また、ビジネスPCでは、バンドルソフト(購入時からパソコンに添付されているソフト)が、基本的にOSだけである点もコンシューマーPCとは大きく異なる点だ。
後者は家庭で便利に楽しく使えることをコンセプトにしており、家計簿やハガキ作成などのユーティリティ関連、画像/映像編集、趣味やゲームなど様々なアプリケーションソフトが最初から添付されている。
だが、こうしたソフトは基本的にビジネスPCでは不要。添付しないことで価格を抑えることができる。必要なソフトについては、注文時にオプションなどから選択することが可能だ。
例えば、マイクロソフトの「オフィス」。ビジネスでも家庭でも、必須のソフトである。コンシューマーPCではワードとエクセルが標準搭載されているモデルが多い。だが、ビジネスPCには基本的に非搭載で、必要に応じて別途オプション購入する。
一見、必須ソフトなだけに標準搭載の方がよさそうだが、オフィスには他にも様々なソフトがある。特に「パワーポイント」などはビジネス用途では欠かせないが、コンシューマーPCにも搭載されていないことが多い。後から追加するよりも、複数あるラインナップから用途に応じて選ぶ方が、利便性やコスト的な面からもメリットが大きいのである。
セキュリティ関連ソフトでは使用期間限定のウイルス対策ソフトが、双方ともに添付されていることがほとんど。ビジネスPCでは、さらに情報保護対策として、ハードディスク暗号化やデータ消去ツールなど関連ソフトをオプションで選択できるケースがある。ビジネスPCならではだ。
この他、コンシューマー向けではトレンドとなっているテレビ再生や録画といったAV関連機能は、ビジネスPCには搭載されていない。
(*1)ビジネスPCのすべてがBTOに対応しているわけではない。特定業務を目的としたケースなど、基本仕様がほぼ固定されているモデルもある
保証メニューが充実
ハード面では、液晶ディスプレイに違いがある。ビジネスPCでは画面サイズを選択できることもそうだが、業務で長時間使用しても目が疲れにくい光沢のない液晶画面を採用しているメーカーが多い。
コンシューマーPCでは、テレビや映画などビジュアルを色鮮やかに再現するため、光沢感のある液晶ディスプレイが採用されている。
一方、「保証サービス」や「リサイクル対応」といった付加サービスにおいても、違いが見られる。
保証サービスでは、コンシューマーPCは1年間のメーカー保証を基本とするのに対し、ビジネスPCでは様々なメニューから要望に応じて選択できる。保証期間の複数年契約や、引き取り修理や出張修理、電話診断など多彩なメニューが用意されている。
ビジネスでは、何よりも不具合や故障が発生した場合の対応が最も重要といえる。この点、ビジネスPCはコンシューマー向けに比べて、はるかに充実しているのだ。
パソコンの廃棄ではリサイクル料が課せられるが、コンシューマーPCには同コストが価格に最初から含まれている。この証として、リサイクルマークが標準添付となっている。だが、ビジネスPCはリサイクル対応していないケースが多い。廃棄する際には有償で、別途メーカーに依頼することになる。
また、ビジネスPCではマニュアルがデータ化され、CDなどのメディアで提供されていることも多い。複数台を購入するケースも多い企業ユースでは、コンシューマー向けのように何冊もマニュアルが同梱されていると邪魔になるからだ。
ここまで見てきたように、ビジネス用途には、ビジネスPCが適していることを理解いただけただろうか。ポイントはいくつかあるが、最大の理由はニーズに合わせてカスタマイズできるBTOに対応している点だ。
次ページからは、BTOについてさらに詳しく解説していこう。
「BTO」とは何か!?
前章では、ビジネスPCの最大の特徴が“BTO”であると述べた。では、このBTOとは何か。
ここでは、そのメリットや留意点、選択のポイントなどを解説しよう。
BTOとは「Build To Order(ビルド・トゥ・オーダー)」の略称で、ビー・ティー・オーと読む。ユーザーからの注文に応じて組み立てる生産方式のことである(*1)。
そのメリットを簡単にいうと、「箱売りモデルと自作パソコンのいいとこ取り」となる。箱売りモデルとは店頭に並ぶメーカーの既成品のことであり、自作パソコンは文字通りユーザー自身がパーツなどを購入して組み立てること。それぞれ一長一短があるが、BTOは双方のメリットを併せ持つというわけだ。
具体的には、「ニーズに対応したモデルの入手が可能」「低コストで購入可能」「保証サービスの充実」——この3つがある。
「ニーズに対応したモデルの入手が可能」というポイントは、BTOが注文生産であることから享受できるメリットだ。
店頭に並ぶ箱売りモデルは、PCメーカーがユーザーニーズを想定して組み立てたもの。必ずしも、個々の企業ニーズに最適な仕様になっているわけではない。オーバースペックや逆にスペック不足などで、十分にビジネスで活用できないケースも生じる。
これに対し、BTOは業務内容などビジネスニーズに応じて自由にパーツを組み合わせるカスタマイズが可能なので、最適なモデルを導入できるのだ。パソコンを自作する方法もあるが、そのためには技術や知識が不可欠だ。だが、BTOは専門の担当者が組み立てるというメリットもある。
「低コストで購入可能」な点は、企業にとって大きな魅力だろう。箱売りモデルでは、本来は必要ない機能やソフトなどにコストがかかり、結果として高単価となってしまう。
逆に、スペック不足で後から増設や追加を行なったため、割高になるケースもある。だが、不要なスペックを省き、最適なパーツを選べるBTOはコストを抑えることができる。
PCメーカーにとっても、完成品在庫が不要でコストが抑制でき、それだけ価格を安く設定できる。
「保証サービスの充実」は前章でも述べたように、複数の保証メニューが用意されている。自作パソコンでも低コストで最適モデルの導入は可能だが、この場合、個々のパーツ保証はあっても組み上げた完成品に対する保証はない。
低コストで個別ニーズに最適なパソコンを安心して導入できるメリットが、BTOの魅力なのだ。
△パーツの構成オプションから、ニーズや用途に応じたスペックを選んでいくことでBTOパソコンの注文が可能
(*1)CTO(Customer To Order)という場合も。基本的にはBTOとCTOは同義である
店頭オーダーが最適
一方、留意点についても頭に入れておきたい。「注文にはパソコンの知識が必要」「完成まで試すことができない」「導入に時間を要する」といった点である。
最も大きな課題は、BTOをオーダーするのにパソコンの知識が必要なことだろう。「CPUやOSは何を選べばいいのか」「メモリー容量は」「ドライブは」といったように、どのパーツを選ぶべきか見極めが必要となる。
多岐にわたるメニューからパーツを組み合わせることは、パソコン知識が少ないと難しい面がある。しかもBTOの注文は、ネットを介して受け付けているメーカーが多い。
この課題を解決し、BTOのメリットを最大限に享受できるのが実店舗の利用だ。KOUZIROをはじめ、複数メーカーのBTOを扱うヤマダ電機法人カウンターは、掛け値なしに最適といえる。個々のビジネスニーズに最適なモデル選びを支援してくれるはずだ。ぜひ、足を運んでほしい。
「完成まで試すことができない」点については、パソコンという製品の特性上、それほど気にならないのではないか。ネットではなく、店頭でしっかりと相談しながらスペックを決めることでも、この課題を解決できる。
また、注文を受けてから生産に取りかかることを考えれば、「導入までに時間を要する」こともある程度は仕方がないだろう。計画的な対応により、対処可能だ。
オーダーから納品まで、通常10日〜2週間の期間を設定しているメーカーが多い。ただ、実際には1週間程度で納品されるケースも多く、早いメーカーでは最短数日で導入可能なケースもある。いずれにしても、余程の急を要しない限り、導入期間は問題とはならないだろう。
ポイントは用途の明確化
では、BTO導入の流れはどうなっているのだろうか。
特別なことはなく、「オーダー」「組み立て」「納品」というフローだ。店頭やネットを問わず、まずスペックを決めて注文しなければBTOは始まらない。ここに最も手間を要するが、店頭なら相談しながらスペックを決めることが可能。ある程度の知識と選択ポイントを押さえておけば十分だ。一般的なオーダーメニューを例に、流れを見ておこう。
BTOのスペック決定の流れを示したのが上図である。実際にはメーカーにより様々で、最初から設定されている基本スペックを変更していく方法や、フルカスタムに近いものまで見られるが、パーツごとに構成オプションから選んでいく点では同じ。理論的には数万通りの組み合わせが可能となる。これなら確実に最適なモデルが見つかるはずだ。
デスクトップ/ノート型のいずれにしても、最初はベースとなるフレームモデルを選ぶ。筐体(ケース)、OSやCPUなどをベースにタイプ分けされていることが多い。
ノート型の場合、液晶サイズの選定がフレームモデルに含まれる。B4やB5といったように、パソコン本体のサイズで画面が限定されるためだ。デスクトップは個別パーツとして選べるので、サイズや解像度などオプションの幅は広くなる。
フレームが決まると、「メインメモリー」「ハードディスク(HDD)」「光学ドライブ」など、パソコンの基本構成パーツを決定する。
CPUを含め、こうしたパソコン性能を決める場合のポイントは、「数年先まで視野に入れたスペックを選ぶこと」だ。例えば、OSとしてXPを使うにしても、将来的にVistaを導入する予定があるなら、それに合わせたスペックを組んでおくということである。逆に、Vistaへの移行時には改めてパソコンを刷新するという考えなら、XPに合わせた最低限のスペック設定にしてコストを抑えるという考え方もできるわけだ。
基本パーツの他、「グラフィック系カード」や「セキュリティ機能」、マイクロソフトのオフィスなどの「アプリケーションソフト」や「保証サービス」、デスクトップなら「キーボード/マウス」も選択対象となる。
どう使うのか——。自社のビジネス用途を想定し、これを明確にしておくことが、BTO導入では重要となるのである。
BTO選びのための
構成パーツ基礎知識
ここでは、BTOパソコン導入に役立つ各パーツの基礎知識と選択のポイントをまとめる。
「筐体」「CPU」「メインメモリー」「HDD」「光学ドライブ」「グラフィック系カード」——この6項目を解説しよう。
■筐体(ケース)
BTOは、まず筐体(ケース)選びからスタートする。ケースをベースにCPUやOSなどを選ぶことで、フレームモデルが決まるのだ。
ケースのタイプには、大きく「スリムタワー」「マイクロタワー」「ミドルタワー」などがある。名称やカテゴライズ、サイズなどはメーカーにより様々なので、詳しくは店頭やメーカーのホームページで確認してほしい。
「スリムタワー」はスマートタワーなどとも呼ばれ、名称通り薄型タイプのケースだ。オフィスの机上に置いても圧迫感がない省スペース性が人気で、一般的なビジネス用途などでは主流のタイプである。ただし、拡張性はかなり低い。
拡張性を残しつつ省スペースを実現可能なタイプが「マイクロタワー」で、コンパクトタワーともいう。スリムタイプに比べて横幅は広いが、将来的なパーツの追加や増設などにも柔軟に対応できる。
「ミドルタワー」はマイクロタワーに比べてかなり大きくなるが、拡張性は高い。オフィスの机上に設置するには限界があり、床置きなどが現実的といえる。3D画像などハイスペックを要する業種では、ミドルタワーも選択肢に入ってくるだろう。
なお、ノート型は「A4ノート」「B5ノート」といったサイズにより、筐体が決まる。
■CPU(中央演算処理装置)
BTOでケースが骨格を決めるものだとすれば、CPUは人間の脳に相当しパソコンの基本性能を左右する重要なパーツだ。
CPUは「中央演算処理装置」や「プロセッサー」とも呼ばれており、性能による価格差が大きいパーツの1つでもある。CPUの性能は、「クロック周波数(動作周波数)」「クロックあたりの作業効率」「搭載機能」などにより決まるが、BTOでは最初の動作周波数を押さえれば十分だ。動作周波数が高いほど、基本的には性能がいいことは周知のことだろう。
主要CPUメーカーは、インテルとAMD。ほとんどのBTOで構成メニューとして揃えられているのは、この2社の製品である。主なラインナップは表の通り。参考にしてほしい。
選択のポイントは、CPUはメモリーやハードディスクのように増設できるパーツではないだけに、将来性を考えて選ぶこと。低予算やサブマシンとして割り切るのでもなければ、ワンランク上を勧める。
先々、高い情報処理能力を求められた場合に対応可能で、複数のソフトをスピーディに同時処理できるといったメリットもあるからだ。
■メインメモリー
メインメモリーはデータの一時的な記憶装置のことで、パソコンの快適性や安定性を左右する。大容量になるほど、一度に扱えるデータ量が増加し効率的に情報を処理できる。
BTOでの選択ポイントは、「高容量の搭載」だ。理由は「CPU性能を最大限に生かすこと」と「拡張性」の2点にある。CPU性能が高くとも、一緒に動作するメモリーの容量が小さくては、高性能CPUを選んだ意味がなくなってしまう。
拡張性の点では、例えばOSがあげられる。XPでは512MBのメインメモリーでもストレスなく利用できるが、将来的にVistaへの移行を考えているなら最低でも1GBは必要だ。可能ならば2GBがお勧め。XPも高速に動作するのでメリットは大きい。
また、将来のメモリー増設に備えて拡張スロットなどを確認しておきたい。例えば、拡張スロットが2つしかないケースで、256MBを2枚搭載していたとする。1GBに増設しようとすると512MBを2枚、あるいは1GBのメモリー1枚が必要となり、搭載していた256MBのメモリーは2枚ともムダになってしまう。
最初に512MBメモリー1枚を積み拡張スロットを1つ空けておけば、スムーズな増設が可能。こうした点も考慮しながら、メモリーを選びたい。
■ハードディスク(HDD)

ハードディスク(HDD)は、OSやアプリケーションソフトなど様々なデータを記録しておくパーツだ。容量が大きいほど、多くのデータを保存しておくことができる。
選択ポイントだが、動画や音楽編集といった用途がなければ、増設オプションは不要だろう。基本スペックや基本オプションを見ても、デスクトップで80〜160GB、ノート型で20〜40GBが標準的になっており、よほどの大容量データを扱うのでなければ、一般的なビジネス用途にはこれで十分だ。
それよりは、HDDのセキュリティ関連オプションを検討したい。ビジネス用途では、情報保護やデータ消失などの対策が不可欠であるからだ。
例えば、ノート型では屋外での紛失や盗難の可能性がある。HDDの暗号化機能を搭載していれば、情報漏えいのリスクは軽減する。また、機械である以上、絶対に故障やエラーがないとはいえない。ミラーリング(*1)などHDDの信頼性を高めるオプション選択を勧めたい。
写真:メインメモリー(左)とHDDの各パーツ。この他、CPUや光学ドライブ、電源関連など様々なパーツや部品からパソコンは組み立てられている。
(*1)ミラーリング:2台のHDDに同じデータを書き込み、読み出しは1台から行い、エラーが発生した場合に別の1台から読み出して訂正するシステム
■光学ドライブ
光学ドライブは、いわゆる外部記憶装置だ。「CD-ROM」「DVD-ROM」「DVD-ROM&CD-R/RW」「DVDスーパーマルチ」などがある。
CDとDVDのメディア名の後ろに続くROMは再生のみ、Rは1度だけの書き込み、RWは何度でも読み書き自由なメディアに対応していることを表す。DVDスーパーマルチは基本的なDVD規格の読み書きなどに対応している。
最近はデータ用DVDメディアとして「DL」という2層記録タイプが普及、さらに次世代メディアも登場している。これらをオプションで選択可能なBTOはまだないようで、要望があれば別途問い合わせが必要だろう。
選択のポイントは、業務内容を明確にすること。一般的なビジネス用途なら、CDやDVDのデータを読むことができれば十分ともいえる。書き込み可能な光学ドライブはデータの流動性を高めるだけに、情報保護対策なども含めて考えたいところだ。
■グラフィック系カード
グラフィック系カードは、「グラフィックボード」「ビデオカード」「グラフィックアクセラレータ」などとも呼ばれ、ディスプレイへ映像を表示する役割に特化したパーツである。
同カードは「ビデオチップ」と「ビデオメモリー」を基本構造とし、チップ能力とメモリーの容量が大きいほど、高品質な表示が可能となる
ビデオチップ自体は、BTOでも標準搭載されている。表計算やワープロソフト、インターネットなど一般的なビジネス用途であれば標準搭載チップで十分である。
だが、デスクトップでデュアルディスプレイ環境を構築したい場合、グラフィック系カードが必要となる。ただし、汎用タイプで十分だ。また、3Dや高速描画などが必要な業務では、高性能タイプが不可欠である。
OS選び「XPか、Vistaか」
「Vista」の登場により、BTOにおいてもOS選択は過渡期にある。
この時期、「XPを選ぶべきか、それともVistaか」——ソフト選択の基礎知識を交えながら、解説していこう。
BTOパソコンで選択可能なOSには、主に「XP」と「Vista(以下ビスタ)」がある。それぞれにエディションがあるが、ビジネス向けでは「XP Professional」とビスタのビジネス版である「Vista Business」がメインだ。
では、XPとビスタ。いずれを選ぶべきだろうか。結論から言うと、XPを選択する特段の事情がない限りビスタがお勧めである。
というのも、「ユーザーインターフェースや機能などをはじめとして、現在のPC利用環境に最適な設計になっている」からだ。具体的には、「セキュリティ」と「使い勝手」である。
その詳細は弊誌18号でも解説しているが、ビスタのセキュリティはXP開発当時にはなかった、スパイウエアやフィッシングなどのネットリスクの存在を前提に設計されている。力の入れようは相当なもので、開発者にセキュリティ知識や技術の習得を義務付けたほど。XPに比べて、リスクに対する安全性は当然のことながら高いのである。
使い勝手の面では、検索性が大幅に強化されている。その多彩な検索機能は、ディレクトリ(階層構造)方式に頼らない新しい情報管理の方法を実現している。
また、様々な新機能の追加や機能改良が行なわれている。例えば、電源管理だ。XPでは不可能だった「スリープモード」(*1)から「休止モード」(*2)への自動移行が、ビスタでは可能となった。特にスリープ状態で持ち運ぶことの多いノートPCで威力を発揮する他、デスクトップパソコンでも電力コスト削減につながるなどメリットが大きい。
頻繁に電源のオン/オフを繰り返すノートPCでは、すぐに立ちあげられるようスリープモードで利用することが多いが、休止モードへ自動シフトできないXPではバッテリーの残量管理が必要だった。電源が完全に落ちてしまうとデータが失われる可能性があるからだ。
ビスタではバッテリー残量が少なくなると自動で休止モードへシフトするため、起動ステイタス(情報)はハードディスクに書き込まれデータが保護される。つまり、バッテリー管理が不要というわけである。
これは、ほんの一例に過ぎない。操作性や使いやすさを向上させる様々な機能がビスタには搭載されているのだ。
(*1)スリープモードは起動ステイタス(情報)をメインメモリーに保存している状態。データを保持用の電源が必要なので、待機消費電力はかかるが起動が速い
(*2)休止モードはハードディスクに起動ステイタスを保存した状態。電力がゼロでもデータ保持が可能。起動はスリープよりも遅い
自社のIT資産を検証
こうした利便性がありながらビスタ選択に二の足を踏むのは、「互換性が悪いのでは」という懸念があるからだろう。実際、BTOの現場でもこうした声を聞くことが多い。
だが、最初に次のことを試してみてほしい。周辺機器やアプリケーションなど自社のIT資産をリスト化し、ビスタに対応可能かどうかを検証するのである。そうすることで、どれだけビスタに対応できるのか、あるいはXPを選択するべきなのかといったことが見えてくる。ビスタの評価版も提供されており、それを活用することで検証が可能だ。
この結果、動作しないというケースがあれば、以下のように対応していきたい。
まず、周辺機器などハードについては、メーカーホームページの参照や問い合わせにより、ビスタへの対応予定があるかどうかを確認したい。
対応しない場合、選択肢は2つ。「XPを選ぶ」か、「IT資産を刷新する」かということになる。メーカーがビスタへ対応しないハードは、かなり旧タイプのものが多く、耐用年数がきていることも考えられる。これを契機に、ハードの入れ替えを検討することも必要だろう。
アプリケーションソフトの場合も同じだ。実際に検証して、動作しなければメーカーに確認すること。
あるいは、「互換性」タグを利用してみる手もある。アプリケーションソフトの右クリックから、「プロパティ」メニューを選択。互換性タグの互換モードを、XP(または他モード)にして実行すると動作することが多い。
うまく動作しないアプリケーションソフトにカーソルを合わせ、右クリック。一番下の「プロパティ」のメニューを選択する「互換性」タグをクリック。互換モードにチェックを入れ、XPや当該アプリケーションが動作していた旧OSを選択する。これで、うまく動作することも多いという
独自アプリケーションなども、特殊なプログラミングをしていない限りは動作する確率は高い。ただ、動作しない場合は、システム開発者に確認が必要となる。
こうした検証を行なうことで、自社のIT資産がどれだけビスタと互換性があるのかが明確になる。その上で対応を考えたい。
確かにアップグレードされている以上、すべての周辺機器やアプリケーションソフトが動作するというわけにはいかない。だが、いずれはビスタへシフトしていくことを考えれば、IT資産の検証はやっておいて損はないはずだ。
ユーザーアカウント制御(UAC)により、ポップアップするダイアログウインドウ。「面倒だ」という声も少なくないが、スパイウエアを送り込まれたり、OSに影響を与える不用意な操作を行なうリスクを考えれば、たいした手間ではない
XPの選択も当分は可能
一方、システム環境の関係から、どうしても「XP」を選びたいというニーズもあるはずだ。
サポートは2014年4月まで延長されたが、プレインストール版(囲み参照)の販売そのものは08年の1月末日で終了する予定となっている。これに合わせて、BTOでも選択肢はビスタに限られることになる。
だが、これ以降もビスタを選択しながらXPを使うことは可能だ。OSに付随する「ダウングレード権」を利用する方法である。
このダウングレード権とは、旧バージョンのソフトウエアを利用できる権利。つまり、ビスタのインストールモデルであっても、XPへダウングレードして使えるということだ。
ビスタの「Business」と「Ultimate」がプレインストールされたパソコンが対象で、「XP Professional」や「XP Tablet PC Edition」などへダウングレードすることが可能である。ボリュームライセンス版「Business」も同権利の対象となる(*3)。なお、ダウングレードには、別途XPのディスクが必要である点には留意したい。
ダウングレード後、再びビスタへアップグレードすることも可能。将来的に移行する計画なら、それを視野に入れてBTOの構成オプションを選ぶべきだろう。
(*3)「Vista Business」のボリュームライセンス版は「XP Professional」の他、「2000 Professional」などへのダウングレードにも対応
○ビスタのライセンスについて
ビスタのライセンス契約には、「プレインストール(OEM版)」「ボリュームライセンス(VL版)」「パッケージ版」の3つがある。
BTOは、最初のOEM版(正規版とも呼ばれる)による契約となる。これは、店頭に並ぶ箱売りPCと同じで、ライセンス認証(アクティベーション)は不要となる。マイクロソフトからOSのOEM提供を受けたPCメーカーが認証して、ユーザーに提供しているとの考え方に基づく。つまり、メーカーがユーザーの代わりに認証し保証しているというわけだ。
VL版は、XPなど旧バージョンのOSからビスタへアップグレードする際に利用される。ユーザーは、OSの使用契約をマイクロソフトと直接行なうため、ユーザー自身が定期的にアクティベーションすることが必要となる。ビスタでは5台からVL版を利用できる。契約台数が25台を超える場合、KMS(キー・マネジメント・サービス)による、認証管理の仕組みを利用することも可能だ。
BTOでもVL版の利用は可能だ。OEM版とどちらを選んだ方がいいのかについては、利用状況で異なる。ぜひ店頭で相談してほしい。
パッケージ版は、箱に入って店頭売りされているソフ
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