ブッ飛び税理士の耳より税金コラム③|リースを効果的に活用する 賢い節税

リースを効果的に活用する
賢い節税テクニック
(株)経営サポートステーション 代表取締役
税理士・行政書士
井上一生
少額減価償却資産の経費算入
決算が近くなり、利益が出ることが決定的なお客様がいらっしゃいます。私たち会計事務所には、様々な節税のご相談があります。
その中で「コンピューターや大型の値の張るコピー機等の事務機を買う」という方法を思いつきます。
消費税で税抜き経理をしているなら税抜きで30万円以上。税込み経理しているなら税込み30万円以上の高額機材は、資産計上して減価償却をしなければなりません。
そこで一般的によく使う手が「少額減価償却資産の経費算入」です。例えば、30万円未満のパソコン等を一度に入れ替えて、経費を作るケースです。30万円未満の少額減価償却資産を取得し、それを仕事に使用した場合には、減価償却の計算をしないで、使用したときに購入価額をそのまま必要経費に算入することができます。

なお、10万円以上30万円未満の少額減価償却資産について、その取得価額の合計額の限度額は、年間300万円までとなります。もちろん通常の減価償却で処理することも可能です。決算内容を見て、どちらが自社にとってより有効かを、判断すればいいと思います。
さて、次に注目すべきは、30万円以上の減価償却資産です。こちらは減価償却しなければなりませんが、今年の税法改正で、この減価償却が大幅に変更され、経費計上できる金額が多くなります(07年度税制改正で大幅変更する見込み。現段階では税制改正要綱で公表されている改正案をもとにした情報です)。
減価償却制度としては約40年ぶりの大改正ということになります。経済産業省が数年前から抜本的見直しを要望していました。ようやく日の目を見ることになります。
減価償却とは何か?
では、そもそも「減価償却」とは何かということから確認しておきましょう。
まず、減価償却資産ですが、これは建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具など、時間経過によってその価値が減っていく資産のことです(時間経過等により価値の減少しない土地や骨とう品などは減価償却資産ではありません)。
そして、例えば、50万円の大型テレビを購入したとします。このすべての額(取得価額)を買ったその年の費用に一度にできるかというと、残念ですができません。理由は大型テレビは数年間にわたって使い続けるからです。
会計や税金の計算の原則的な考え方に「費用収益対応の原則」があります。その年分の収益には、その年分の費用を対応させ、差し引き計算をして利益を算出するという基本の考え方です。
ですから、大型テレビの購入金額は、それを活用する数年間に分けて経費として計上し、収益に対応させることになります。この費用を「減価償却費」といいます。
①減価償却に必要な概念「法定耐用年数」
私は2年間使って買い換えるから、とか、私は5年間は使うよと、人によって判断がばらばらになると、混乱するし不公平なので、計算上の利用期間を国が定めています。これが「法定耐用年数」と呼ばれるものです(減価償却資産の耐用年数等に関する省令)。
②減価償却に必要な概念「残存価格」
残存価額とは固定資産(器具備品、建物、設備や車等のこと)の使用が終わって売却するときの価値ということです。場合により、価値が無いもの、20%程度のもの、逆に処分により処分や撤去のコストがかかるものがあるかもしれませんが、これは、一律10%と規定されています(現在は取得価額の5%)。
③減価償却に必要な概念「償却方法」
「減価償却費」はどのように計算されるのかといいますと、大別して2つの方法、「定額法」と「定率法」とがあります(両者の計算式は40ページを参照)。一般的には、「早く経費にしたい」「早く税金を安くしたい」と考える企業にとっては、定率法の方が効率がいいということになります。
リースを活用した節税テクニック
今回の減価償却の制度改正ですが、その大きな狙いは、企業の国際競争力維持のために、減価償却制度においても国際的なイコールフッティング(同じ土俵に立つ)を確保するための措置といえます。
しかも今回の改正で、減価償却費を100%まで計上できることになりますが、これは支払うべき法人税を少なくできるということですから、減税と同様の効果が期待できることになります。
制度改正の詳細については40ページの特集を参照いただくとして、ここでは減税効果をさらに高めるため、リースを活用した節税対策の「応用編」をお話ししたいと思います。
①リース料1年分を一括払いする
30万円以上の機器は減価償却を通じて経費になります。そのため、耐用年数で償却します。
ちなみにノートパソコンの耐用年数は4年です。中古の場合の耐用年数は経過年数により変わります(最短2年)。
しかし、新品取得しても、初年度は実際に使用した月数分の償却しかできません。ですから決算が近くなって購入した機器の減価償却費は、それほど多額にはなりません。
ここで知恵を絞ります。高額事務機器を「購入する」のではなく「リースにする」のです。その際、1年分のリース料を、毎年継続して一括払いにする契約を結びます。そうすると、例えリース料の支払いが期末近くであっても、 1年分のリース料を経費とすることが可能です。
②子会社からのリースバック
もう1つの方法は、現在、会社が持っている機器を、自分の子会社に売却する方法です。その子会社は、定款に機材のリースレンタル業務を目的として入れておきます。
そして、親会社はその事務機器を子会社(リース会社)からリースしてもらうのです。 これをリースバックといいます。
その際、①のように1年分のリース料を毎年一括払いとする契約を結びます。この手法を決算月に行なうと、その機器の自社所有していた12カ月分の減価償却費と、リース機材になって子会社に支払う1年分のリース料が今期の経費とすることができます。
ただし、第三者間で取引が考えられない常識外の金額等の契約等々、売買と認定されてしまうリース取引もあります。ですので、適用については事前の研究や税理士など専門家へ相談することをお勧めします。
いかがでしょうか。節税は知恵を使った駆け引きです。あなたの会社では高額の機材を所有されていますね。 これから購入するご予定がございますか。それともリースの予定ですか。実は償却資産を使った節税といっても、色々な方法があります。
これらはテクニックです。手法は様々です。ただ、知っているかどうかだけです。 知っている人が得をします。ぜひ研究してください。
■表1 少額減価償却資産の経費算入
・対象となる方
⇒青色申告書を提出する個人事業者または資本金1億円以下の中小法人等
・対象となる資産
⇒取得価額が10万円以上30万円未満の減価償却資産
・措置の内容
⇒取得価額の全額を損金算入できます。ただし、特例の対象となる損金算入額の上限は年間300万円までとなります。
・手続きの流れ
⇒確定申告書等に必要事項を記載し、少額減価償却資産の取得価額に関する明細書の添付をした上で最寄りの税務署に申告します。
・適用期間
⇒2008年3月31日まで





