パッケージエアコン 最新モデルのポイントはここだ!
目を見張る「省エネ性」&「快適性」
パッケージエアコンの最新モデル
注目ポイントはここだ
店舗やオフィスにとって、パッケージエアコンは設備投資に近い。このため、機種選びを業者任せにしているのではなかろうか。それでは、市場シェアだけで機種選択がなされてしまうケースが多々ある。
最近のパッケージエアコンは、さらなる省エネ性能アップや快適性の追及などに余念がない。業務用設備といえども、選ぶ楽しさがあるわけだ。
そのためには、各社の商品戦略を知ることが重要だ。
飛躍的な性能アップを遂げているパッケージエアコン。最新機で注目したいポイントは、「省エネ能力」「快適性」「リニューアル対応」などだ。
もはや最新モデルの省エネ性の高さはいうまでもないだろう。パッケージエアコンのリプレイスサイクルは約10年。当時の機種と最新モデルを比べると、スタンダード機で40%前後、省エネ機になると70%以上の効率化を実現しているものもある。
省エネ能力アップの貢献要因としては、圧縮機(コンプレッサー)や熱交換器の改良が大きい。メーカー各社はこの技術に磨きをかける一方で、快適性を追求。温度ムラの解消などにより余分な電力コストのカットにつながり、さらに省エネ能力が向上している。
また、パッケージエアコン市場はリプレイスが7割以上を占める。既設配管の廃棄は環境への負荷が高く、工事期間の長期化やコストアップにもつながっていた。このため、ほとんどのメーカーが既設配管や配線ケーブルなどの再利用に対応しており、リニューアル性が大幅に向上している。
これらのポイントは、メーカー各社によっても差が表れており、それが最新モデルに反映されている。
省エネ追及の東芝
東芝キヤリアの売りは、「省エネ能力」と「リニューアル」だ。新冷媒やインバーター技術といった最先端の省エネ技術をいち早く導入してきた同社は、徹底して省エネ性能アップにこだわる。
コア技術は、三洋電機などと共同開発した「DCツインロータリー」方式のコンプレッサー。これをベースに制御技術を独自にブラッシュアップし、高い運転効率を実現している。
DCツインロータリーの特徴は、低速から高速回転まで全域で運転効率が高いこと。特にエアコンの実使用比率が高い中低域の性能がいい。設定温度に達した後もDCツインロータリーが超低速で回転するので、温度調整のための電源オン/オフにより発生する余分な電力をカットでき、温度ムラによる不快感を軽減するため快適性もアップするのだ。
同社は、この技術を省エネ機「スーパーパワーエコR」だけでなく、スタンダード機の「スマートエコR」にも搭載。同社全モデルで高い省エネ性を実現している。
この事実を客観的に証明しているのが、06年10月から始まった省エネ評価基準の新指標「APF」(詳細は囲み参照)だ。これまでのCOPに比べて、パッケージエアコンの実使用に近い環境での省エネ性を示すこの指標で東芝機は高い数値を記録している。
既設配管を利用したリニューアルでは、省エネ機とスタンダード機のいずれも対応している。省エネ機での対応は一般的だが、スタンダードクラスで標準対応するケースは数少ない。
また、既設のコンプレッサーが故障している場合でも、洗浄レスで既設配管を再利用できる。エアコンの調子が悪くなってリプレイスを検討する場合にも安心だ。
室内機個別運転の日立
日立は室内機の「個別運転」により省エネと快適性を両立、さらに省スペース性、工事コストの削減などを実現している。
パッケージエアコンでも大型のビル用では標準化されている個別運転機能は、店舗・オフィス用では非対応が一般的。これを業界で初めて標準搭載(省エネ機80型以上)したのが同社である。
個別運転とは、1台の室外機で複数台の室内機を個別に運転できる機能のこと。通常は同時ツインなどと呼ばれ、店舗・オフィス用では個別に運転できない。
だが、日立ではビル用エアコンの技術を独自に活用して、室外機1台で室内機複数台の温度設定や運転を個別に制御可能とした。店舗・オフィス用室外機のラインアップでは最大335型(12馬力)まで用意。このクラスなら、4台を個別に制御(個別フォー)することもできる。
個別運転では、「ゾーニング」という考え方をベースに快適空間を作り出す。窓の向きなど陽の当たり具合が影響して、室内は場所によって温度が異なる。例えば個別運転なら、冷房時に室温が高い窓側の室内機は設定温度を低くし、陽が当たらずそれほど暑くない場所では設定温度を高くしたり、運転を停止させるといった使い方ができる。
インバーターや熱交換器の効率アップに加え、こうした適切な室温コントロールを通じて、無駄な電力コストをカット。さらなる省エネ性能アップを実現している。
しかも、リニューアルという視点で見ても個別運転はメリットがある。2部屋以上にパッケージエアコンを設置する場合、個別制御するにはそれぞれで室外機を用意する必要がある。だが、個別運転機能は1台の室外機でこれが実現可能だ。導入コストや配線・電源設備の削減による工事コスト負担の軽減につながる。
ムーブアイの三菱
三菱は温度ムラに着目して快適性と省エネ性を実現している。具体的には、室内機に搭載した赤外線センサー「ムーブアイ360」により、室内全体の温度を感知。気流を自動制御して温度ムラを解消し、空間全体の快適性アップを実現している。
一般的にエアコンでは、室内機に搭載したセンサーが室内温度を感知して温度を調整する。だが、暖かい空気は上昇するため、基本的に室内は上と下で温度差が生じる。室内機は天井付近に溜まった暖かい空気温度を感知して、例えば暖房時には暖め過ぎないように運転能力を下げてしまう。この結果、頭上が暑く足元は寒いといった状況が発生するわけだ。
これを改善するため、三菱はすべての物体が赤外線を発していることに注目した。センサーにより物体が発する赤外線を検知して温度を計測。このため、天井に設置されていても床や壁温度の感知が可能となる。
そして、送風の自動制御により送風の自動制御により暖房時には温風を送って足元を集中的に暖め、冷房時には室内の冷やし過ぎを防止することで、室内の温度ムラを解消し快適な体感温度を実現した。
この技術は05年にルームエアコンで初めて搭載したもの。市場の評価が高いことから、可動式で360度全方位を検知できるセンサーに進化させ、これを店舗・オフィス用にも搭載したのである。
「例えば暖房時、ムーブアイ360は一般機と比べて設定温度が3度低くても体感温度は同じ」という。「設定温度1度で省エネ効果は10%変わる」といわれているだけに、快適性のみならず省エネ効果も高い。
安心安全の三洋
三洋は、「リニューアル」と「ウイルスウォッシャー」が売り物だ。
既設配管を利用したリニューアルでは、省エネ機「スーパーエスパシオⅡ」とスタンダード機「エスパシオ」をはじめとして、中温用や寒冷地向けまで全機種が標準対応。しかも、既設のコンプレッサーが故障していても洗浄レスで対応可能だ。
「市場のほとんどがリプレイスであることを考えれば、リニューアル対応は必須。選択肢も広がるのでユーザーも安心して選べる」と、同社は全機種リニューアルを前面に打ち出す。
ウイルスウォッシャーは、快適性を実現する機能だ。室内機にこれを組み込むことで、空気中に浮遊するウイルスや様々な菌、花粉などの除菌に加え、タバコやペットの臭いなども除去することができる。
花粉症やハウスダストによるアレルギーなどが問題となる中、「空間清浄機能を搭載したパッケージエアコンの導入は、店舗ならお客さんの集客効果にもつながるはず」と三洋。「お店はもっとエアコンの快適性をアピールしてもいいのではないか」と続ける。
この機能は、三洋が洗剤不要の洗濯機「洗剤ゼロコース」や、プールの除菌などで培った電解水技術を応用して実現されている。
簡単にいうと、水を電気分解することで発生する塩素の力を高めて空気清浄を行なう。水分を利用しているため、冬季には室内を加湿することも可能である(冷房時は加湿機能カット)。
また、省エネ能力については、独自技術により効率アップに取り組んでいる。その一方で、店舗・オフィス用パッケージエアコンのボリュームゾーンともいえる112型(4馬力)〜160型(6馬力)では、東芝キヤリアと共同開発したツインロータリー方式のコンプレッサーを採用。高い省エネ性能を実現している。
パッケージエアコンといえば、確実に空気を暖めたり冷やしたりする基本性能ばかりが重視されてきた。
だが、ここまで見てきたように業務用といえども、様々な機能を搭載し多様化してきている。省エネ能力や快適性など、多視点からの機種選びが重要だ。まずはヤマダ電機法人カウンターで、相談してはいかがだろうか。
パッケージエアコンの省エネ能力を表す指標として、「APF」評価による表示が新たに導入された。これまで使用されてきた「COP」評価は、ある一定の温度条件(定格)での運転効率を示すもの。これに対し、APFは外気温の変化による消費電力量の変化を反映する評価手法で、実使用下に近い状態での省エネ性能を知ることができる。APFはCOP同様に数値が大きいほど省エネ能力が高い。つまり、それだけ電気代が安くなるわけだ。なお、APFはCOPに取って替わるものではなく、両評価手法とも製品カタログなどに記載される。機種選びの参考にしてほしい。
●APF(通年エネルギー消費効率/Annual Performance Factor)
建物用途や使用期間を設定し、実際の使用状態に近いエアコンの運転効率を示す評価手法。年間を通じて、ある一定条件下(*1)でエアコンを使用した時の消費電力量1kWhあたりの冷房/暖房能力を表す。下記の算出式で、「冷房期間+暖房期間で発揮した能力」とは、1年間の総空調付加のこと。条件が定められているため数値は一定。このため、分母の消費電力量が小さいほどAPF値は高く、省エネ性能が高いことになる。
(*1)用途:東京の戸建て店舗/使用期間:冷房5月23日~10月11日、暖房11月21日~4月11日/使用時間:8時~21時

●COP(エネルギー消費効率/Coefficient of Performance)
冷房時と暖房時それぞれで規定された温度条件(定格点)でのエアコン運転効率を示す評価手法。定格冷房と定格暖房時の消費電力1kWhあたりの冷房/暖房能力を表す






