IT活用事例(企業編)/オークネット 中古車TVオークションにネットシステム導入
IT活用事例
企業編
オークネット(東京都千代田区)
コスト50%削減を目指す
中古車TVオークションの先駆者が
ネットシステムを本格導入
●中古車を皮切りに二輪、花き、PCのTVオークションを展開
●衛星システムからネットシステムへの切替を本格化
●これによりシステム維持費の半減を狙う
●ネット端末の供給&メンテナンスをヤマダ電機が担当
現車を見ずに、TVの画像情報だけで中古車を選ぶ−−。
そんな経験を持つドライバーも、少なくないだろう。オークネットはTVを使った中古車流通システムを、世界で初めて構築したパイオニア企業だ。インターネットはおろか、パソコンさえ普及していなかった85年に、中古車TVオークションを始めたのである。
スタート当初、中古車業界は「便利だ」という革新派と「既存ビジネスが崩壊する」という守旧派とに二分され、大きな物議をかもし出したという。スタート時に参加した中古車販売会社は560社、出品台数は119台だったが、それから20年以上を経た今日、オークネットへの加盟企業は7000社に及び、取引される中古車は年間30万台以上に達している。
世界初のTVオークション
ここで、中古車業界におけるオークネットの位置づけを整理しておこう。
オークネットは、中古車卸業者と、クルマを仕入れたい中古車販売会社とをつなぐバーチャルなオークション会場(セリ市場)である。
オークネットが設立される以前の中古車オークションは、売り手も買い手もリアルのオークション会場に出向き、現車を見ながらセリに参加する以外になかった。中古車販売会社にとっては、仕入れが重要な業務であることは間違いないが、常に会場へ出向くことは必ずしも効率的とはいえない。
一方、中古車卸業者もオークションのたびに、会場まで現車を運ばなければならない。しかも、売れ残れば再び持ち帰ることになる。
両者にとって、オークション会場は重要なビジネス拠点ではあるが、そのシステムには煩わしさも多かったのである。この解消を狙い、TV端末でセリを成立する仕組みを構築したことで、オークネットは急成長を遂げたわけだ。
しかも、01年からは「ライブ中継オークション」をスタートした。これは全国の現車オークション会場と提携し、会場で行なわれているオークションをライブ中継するもの。中古車販売店は会場へ出向かずとも、TVオークション端末を使って、全国のオークション会場への直接応札が可能になった。
このことは、中古車オークション業界をさらに進化させたといえる。これまでは競合関係にあったリアルのオークション会場とオークネットが、ライブ中継の開始で重要なパートナーへと変化。共存共栄の道を歩み始めたからである。
さらに、オークネットが大きな支持を得ているもう1つの理由として、情報の信頼性の高さがある。新車とは異なり、1台ごとに価値が違う中古車を、現車を見ずに取引するには、商品情報の信頼性が不可欠だ。オークネットはこのテーマの解決に、いち早く取り組んだのである。
96年に車両検査専門会社「AIS」を設立。現在は全国に180名の専門検査員を配備し、車両を1台ずつ厳正にチェックしている。こうした検査体制を持つのもオークネットならではだ。
しかも、トヨタ、日産、ホンダなどの自動車メーカー系中古事業子会社と、オークネットが検査基準を統一。今ではAISの検査システムがデファクトスタンダードとなり、同社が発行する車両検査認定書は、厳しい検査によって客観的に評価されたことを証明する証として、中古車業界で信頼されている。

△TVオークションを支える心臓部
ネットシステムを本格化
オークネットが展開している中古車TVオークションのシステムは、現状では第4世代にあたり、衛星放送を活用したものだ。基本的にはBSデジタル放送などと同様のシステムである。
まず、オークネットのホストコンピューターから映像・音声データを衛星へ飛ばし、衛星から全国の販売会社のオークション端末へ、映像・音声データを配信している。そして、応札額などリアルタイムの数字のやり取りは、地上回線を通じて行なっている。
衛星放送システムは、安定性の高い放送が可能なことや、遠隔地へのデータ配信のしやすさなどがメリットだ。しかしながら、このインフラを維持するには、ランニングコストが高いという課題もあった。「年間で億単位のコストがかかる」という。
そこでオークネットは07年から、インターネットを活用した第5世代のシステム開発を本格化する計画だ。これまでもインターネット活用は大きなテーマであった。だが、回線速度の問題等から不特定多数の販売店がセリに同時参加しにくいなど、実現のためのハードルがまだ高かったのである。
しかしながら、昨今はブロードバンド環境が急速に整備され、TVオークションにもインターネットを応用可能な状況となってきた。しかも、インターネットは衛星放送に比べてコストを抑制できるという大きなメリットがある。
オークネット企画運営部の福田博介部長は「インターネット・システムを導入することで、ランニングコストの大幅な削減が可能」だという。同社としてはその分の経費を、顧客への各種サービスに充当。さらにCS(顧客満足度)を高めることを狙っている。

△写真
左:TV画面を見ながらリアルタイムでセリに参加
右:全国180名の専門検査員による信頼の整備・検査体制
技術動向には常に敏感
このネットシステムが本格稼働すれば、オークネットのTVオークションは衛星を使った既存システムと合わせて、より充実したインフラが整うことになる。
そもそもオークネットが85年にスタートした第1世代のシステムでは、画像・音声の配信メディアとしてレーザーディスクを使用していた。当時、製造元のパイオニアと綿密な打ち合わせを繰り返しながら、世界初のTVオークションシステムを熟成させてきたという歴史を持つ。
レーザーディスクといえば、当時は家庭での観賞用がメインの機器。業務用としては、カラオケなどいくつかの用途に限定されていた。だが、この新技術に着目し、TVオークションという新たな市場を切り開いたオークネット。それだけに放送・通信に関連した新技術の動向には、常に敏感な企業である。
インターネットについても、ヤフーオークションのように指し値を行なう予約入札については、「アイオーク」と呼ぶシステムとして、すでに稼働中だ。こちらは好調に推移しているという。
そして、さらなるIT技術の進化にともない、システムも大きく躍進。いよいよ07年からは「衛星&ネットによるリアルタイムのTVオークション」という新体制が整うことになるわけだ。
さらにオークネットはこのシステムを応用して、将来的には「より幅広い分野に発展させることも検討している」という。
福田部長は「ユーザーにとって、もっといいサービスを提供する。そうすることで、TVオークション市場を、もっと活性化させたい」と語っている。





