ドライブレコーダーの装着で 顧客の信頼とドライバーの安全を守る/群馬郵便逓送◎藤田功社長

ヤマダ・ビジネス・ネットワーク

群馬郵便逓送(群馬県前橋市)
http://gntei.co.jp

ドライブレコーダーの装着で
顧客の信頼とドライバーの安全を守る


群馬郵便逓送は、群馬県の高崎以東をテリトリーとする郵便輸送の専門会社。郵政事業民営化が推し進められ、今後の道のりは決して平坦ではない。だが、警備会社から移ってきた藤田社長は「新しいことに挑戦していけば道は開ける」との考え方を持つ。ドライブレコーダー「ウィットネス」の全車搭載も、安全と信頼を高めるための決断だった。

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  「これまで郵便業界はぬるま湯だったが、民営化路線が進む中、いつ当社の仕事がなくなるか分からない。生き残るには社内の体制そのものを変えるしかなかった」。
 こう語るのは、群馬県内で高崎市以東の郵便輸送を担当している群馬郵便逓送の藤田功社長だ。警備会社出身の藤田社長は、縁あって3年ほど前に着任した。郵政事業の変革という厳しい環境の中、自主独立と進取の精神で社内体制を刷新。旧態依然とした業界において、異彩を放つ存在である。

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1933年に創設された群馬郵便逓送。70年以上の歴史がある



大変革期を向かえた郵送事業

 民間企業が郵便物を運んでいるといってもピンと来ないかもしれないが、歴史を紐解くと郵便輸送の役割を担ってきたのは一貫して民間会社なのだ。
 そもそも日本の郵便の原点は飛脚に始まり、その歴史は鎌倉や室町時代までさかのぼるといわれる。江戸時代末期には、全国に飛脚のネットワークが構築されていた。
 明治初頭には郵便の父と称されている前島密(*1)が、郵便制度の近代化を推進した。切手制度による全国同一の郵送料金など新しい郵便制度の確立を目指す前島の考え方と、飛脚の利益が対立。国と飛脚との値下げ合戦に発展する中、「飛脚の方々は、郵便を運ぶ仕事をやってくれ」という前島の提案により、役割分担されたことが郵便逓送会社の始まりである。

 以降、民間逓送会社は輸送により地域の拠点をつなぎ、郵便局は個別宅に届けるという仕組みで郵送事業は構築されてきた。逓送会社はエリアごとに1社ないし2社。その地域の郵便輸送を一手に引き受けている。
 しかし、時代は変化。郵政民営化により仕組みが大きく変わろうとしていることは周知の通り。その変化は藤田社長が同社に着任する以前に、運賃が4割も下落するという形で影響を与えていた。しかも着任早々、運賃はさらに2割以上も値下げされたのだ。この変化についていけなければ、契約を切られてしまう。これは地域独占的な逓送事業では、昨日まであった仕事が今日はゼロになること。郵便輸送を専業としてきた同社にとっては、会社存亡の危機という意味を持つ。

 そうした中、何とか事業を維持できる体制を整えてきた藤田社長は、さらに危機感を募らせている。
 「実際に民営化されれば、運賃が再び値下げされることを覚悟しなければならない。佐川やヤマトといった大手物流会社が参入してくる可能性も十分あり得る。これからは安価で信頼性が高くなければ、郵便業界では生き残れない」。

(*1)前島密:1835年に下池辺村(現新潟県上越市)に生まれる。近代郵便制度を確立したことから「郵便の父」と呼ばれている。電信・電話事業や海運・鉄道事業などの発展にも尽力。東京専門学校(現早稲田大学)の校長を務めるなど幅広い分野で活躍した
 



運転手の品質・安全が至上命題

 信頼性を高めるために取り組んだのが、「会社自体の品質アップ」と「安全への配慮」だ。品質管理・保証の国際標準である「ISO9001」や、事故を起こさない仕組みを持っていることを証明する「安全性優良事業所」の認定を取得。さらに、環境保全活動に取り組むトラック事業者であることを認定する「グリーン経営認証」なども取得し、会社の信頼性を高めた。

 安全への配慮では保有する30台以上のトラックに、「エコドライブナビゲーションシステム」を搭載した。急ブレーキや急ハンドル、アクセルの踏み込みなどドライバーの荒い運転を監視し、音声で注意するシステムである。運転状況が項目ごとにデータ化されたレポートをチェックし、運転手を指導。危険運転の防止による安全向上だけでなく、燃費効率が30%以上もアップしたという。

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  「それでも事故は発生する」と藤田社長。事故になれば、責任の所在をめぐって必ず問題が生じる。自社のドライバーを信用していても証拠がなければ、それを証明することさえできない。そんな時に、事故の映像を記録できるドライブレコーダーの存在を知った。しかし、1台15万円と高価でエコドライブを装備した直後ということもあって、導入を見送らざるを得なかった。

 実は、藤田社長が着任する2年ほど前に、同社の社員が事故死した。相手の信号無視が原因だったが、死人に口なし。相手は非を認めずに裁判となった。勝訴はしたが、結審まで4年もの歳月と多大なコストを費やした。映像で証拠が残るシステムがほしい——それが強い願いだった。

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外部環境の変化にいち早く対応した藤田功社長

 



ヤマダの情報提供力に魅力

 この願望をサポートしたのが、ヤマダ電機法人営業部前橋営業所だ。社長の思いを耳にした営業所の大野良男氏は、ドライブレコーダー「ウィットネス」の取り扱いが決まると、その情報を即伝達。その性能と、5万円を切る低価格に納得した社長は、保有するトラックすべてにウィットネス搭載を即決したのである。
 大野氏は「お客様の役に立つためには、必要としている情報をいかに早く提供するかが重要。藤田社長のように常に新しいものを探している場合はなおさら。お客様がどんなことに関心を持っているか、いつも気にするよう心がけている」と話す。

 警備会社時代に開店警備などを担当した関係もあって、以前からヤマダ電機を利用していたという藤田社長は、群馬郵便逓送に着任した後も、近くのヤマダ電機を自然と利用するようになっていた。
  「店舗に行けば大野さんが色々と教えてくれるし、サービスもいい。全国に法人営業所があるなど利便性も高いが、やはり担当者の人柄が取引したくなる一番の理由」(藤田社長)。

 ウィットネス導入後、2件の追突事故が発生している。このうち1件は装着効果が如実に表れた。当初、「一時停止をした」と言い張る相手に、ウィットネスの映像が証拠として残っていることを告げると態度を一変。謝罪してきたという。
 エコドライブで運転品質を管理する一方、ウィットネスでドライバーの安全を守る。この2つのシステムで信頼性を高めたわけである。

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左:隅々まで丁寧に手入れされている郵送用トラック。これも顧客の信頼を得るための取り組みだ
右:車内に装着されたドライブレコーダー「ウィットネス」(車外から撮影)。
 



引き継がれる進取の精神


 進取の精神は、これだけに留まらない。旧態依然とした郵便輸送の業界では紙ベースで輸送物を管理しているのが現状で、一般の運送会社のようにバーコードやICタグなどを活用した輸送システムが構築されていない。
 そこで、ICタグを使った運行管理システムの開発に取り組んだ。しかしコストが高く、同社が扱う荷物だけでも2000万円近い投資が必要となるため断念。1世代前のバーコードによる運行管理システムを開発し、この10月から実験を始めた。

 同じような仕組み作りは、郵政総合研究所でも取り組まれてきたが、システム化できなかったという経緯がある。実際、群馬郵便逓送が開発したシステムを見た研究所の担当官が「動く仕組みは初めてだ」と驚いたほど。
 エコドライブとウィットネスの導入、運行管理システムの構築など、全国に100社以上ある郵便輸送会社の中でも、これだけ新しいことに取り組んでいるのは、まだ同社ぐらいだ。それだけに、群馬郵便逓送の名前は業界でも話題となっている。

 藤田社長は「目立っていることが命綱みたいなもの」と話す。1933年に前橋局から局と駅舎間の郵袋(*2)授受業務を受託して創業した同社。歴代社長に俳句界で著名な中里麦外氏を有するなど、独特の社風を持つ。
 その精神を確実に受け継いだ藤田社長は「実は今度、“うどん屋”を始めるんですよ」と笑う。進取の精神と危機意識を持ち続ける限り、群馬郵便逓送は厳しい環境下で確実に生き残っていくはずである。

(*2)郵便物を入れて送る袋。当時は麻袋が使われていた

 

 

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