同じものを売って独走する!断トツの公式!

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P A R T 1  家電量販店業界の優勝劣敗
P A R T 2  ヤマダとコジマの分析比較
P A R T 3  ヤマダの1㎡販・管費の軌跡
P A R T 4  山田昇社長インタビュー
P A R T 5  販・管費の有効活用法

 

 

  家電量販店は基本的に同じ商品を売る小売業だ。自社製品を売るユニクロなどのSPA(製造小売業)や、PB(自社ブランド) を強化するコンビニなどとは、この点が大 きく異なる。違う商品であれば商品力の違 いが、業績の格差となる可能性が高い。

 ところが同じ商品を売っても、やはり業 績の格差は生じる。家電量販店業界は21 世紀に入り、ヤマダ電機やヨドバシカメラ、 コジマなどの寡占化が進む一方で、経営破綻する大手量販店が相次いだ。同じモノを 売っていながら、なぜ優勝劣敗が鮮明にな るのか――。そのメカニズムを検証する。
(シャニム編集長:征矢野毅彦)


◇P A R T 1 家電量販店業界の優勝劣敗
91年度の上位31社中、10社が経営破綻
同じモノを売っても明暗が鮮明に


 表1は91年度の家電量販店売上高 ランキングだ。上位31社の売上高と、 その後の資本戦略に関する重大な動 きをまとめてある。これを見ても分 かるように、91年度から15年を経た 今日、31社中10社が民事再生法や会 社更生法の適用申請、営業譲渡など を行なっている。
 また、持株会社や合弁会社の設立、 事業統合や子会社化なども多く、総 合DS(ディスカウントストア)など への業態転換も散見される。91年度 当時の資本政策をベースに、その延 長線上で今も家電専門量販店として 経営している企業は10社にも満たな い。91年度以降の家電量販店業界は、 バブル崩壊後の日本経済の縮図とも いえるだろう。  

バラ色の90年代
 90年代は「失われた10年」と呼ば れることが多い。特に後半は初の GDP(国内総生産)マイナス成長 (97年)や男性失業率5%突破(99年) など不況ムード一色だった。
 しかしながら同じ90年代にあって 家電業界だけは、パソコンや携帯電 話の急速な普及、デジタルテレビ放 送の開始など、世間と比べてはるか にビジネスチャンスに恵まれていた。 実際、91年度の国内家電総需要は5兆7963億円だったが、99年度には7兆 6996億円と130%以上もの大幅成長を 遂げている(商業統計)。
家電量販店業界は世間から見れば バラ色だったわけだ。ところが、21 世紀に入って経営破綻する量販店が 相次いだ事実は非常に興味深い。
 家電量販店業界とは基本的に「同 じ商品を売る」業界であり、新たな ビジネスチャンスへの参入機会も、 各社平等だったはず。にもかかわら ず、15年を経た今日、なぜここまで 優勝劣敗が鮮明になったのか。
一言でいえば経営努力の差という ことになるが、本特集ではその中身 を数値分析を交えて検証してみたい。 その第一歩として、まずは家電量販 店各社の現状を整理してみよう。

91年度のヤマダ電機は24位
 表2の04年度売上高ランキングでト ップはヤマダ電機(単独ベース)で あり、2位以下を大きく引き離してい る。
 だが表1に目を転じると、91年度は 24位。売上高は331億円と04年度の32 分の1以下でしかなかった。つまりヤ マダ電機にとっての90年代は「経営 努力が集積した10年」といえよう (詳細は後述)。
 一方、04年度2位のヨドバシカメラと4位のビックカメラは、いずれも91 年度ランキングには登場していない。 当時はまだカメラ専門店に分類され ていたためだが、両社とも91年度当 時の売上高は500億円に満たず、04年 度比で10分の1以下の規模。両社の90 年代も経営努力の集積だ。
 04年度3位のコジマは91年度も5位 と上位にいる。だが、当時の売上高 は938億円であり、04年度比では5分 の1以下の規模でしかなかった。
 これらトップ4はいずれも、当時の 資本政策のまま、その延長線上で今 日、規模拡大を実現した点で共通す る。いいかえればこの4社は、90年代 のビジネスチャンスを起爆剤に、 法・制度改正を追い風として経営努 力した企業といえる。

業界再編主導型の規模拡大
 これに対して持株会社設立という 異なる資本政策で規模を拡大させた のが、04年度5位のエディオンだ。
 同社でも前述した経営努力は続け られたはずだが、規模の拡大要因と しては持株会社の設立が大きい。91 年度3位のデオデオと同10位のエイデ ンが02年度に持株会社エディオンを 設立。さらに05年度にはミドリ電化 (91年度12位)を子会社化し、規模拡 大に一層の拍車がかかっている。このように業界再編を主導する動きも 今日的な経営努力であり、勝ち残り 戦略の1つといえる。
 これは04年度7位のギガスケーズデ ンキにもあてはまる。
 同社の母体は91年度25位のカトー デンキ販売だ。90年代初頭からFC政 策を積極推進し、小規模家電量販店 を傘下に納めてきた。そして、2000 年以降は関西電波(91年度27位)や 八千代ムセン電機など中規模クラス と相次ぎ事業統合。虎視眈々と上位 進出を狙っている。
 一方、91年度4位だったマツヤデン キは当時、業界を代表する家電量販 店だった。大証一部に上場し、社長 は日本電気大型店協会(NEBA)の 会長を兼務。通産省(現経産省)や 家電メーカーと太いパイプを持ち、 発言力は業界随一といわれた。
 だが、03年に民事再生法手続きを 申請。その要因は「店舗大型化やPC 販売の遅れ、バブル期の不良債権問 題」などとされる(現在は産業再生 機構の支援を経て、04年11月に債務 を一括返済。91年当時とは別資本の家電小売業として、サトームセン[91 年度14位]との統合を視野に入れるな ど、新たな飛躍を期している)
また、第一家庭電器(91年度7位)、 和光電気(同8位)、星電社(同9位) などは、いずれも当時、地域を代表 する家電量販店であったが、02年以 降に相次ぎ民事再生法手続きを申請 した。
 基本的に同じ商品を売る企業であ りながら、15年という時間はここま ではっきりとした形で、家電量販店 業界の明暗を分けたのである。 
 

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