同じものを売って独走する!断トツの公式!~Part5

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P A R T 1  家電量販店業界の優勝劣敗
P A R T 2  ヤマダとコジマの分析比較
P A R T 3  ヤマダの1㎡販・管費の軌跡
P A R T 4  山田昇社長インタビュー
P A R T 5  販・管費の有効活用法

◇P A R T 5 販・管費の有効活用法
「もっとも正しい節税講座⑧」
自社の繁栄と節税を両立
人件費をかけた経営

(株)経営サポートステーション代表取締役税理士・行政書士 井上一生

 この原稿を書いている今は、12月に入ったばかり。12月決算の弊社は、決算対策がちょうど終わったところだ。生々しい決算対策の弊社の実例と、その裏側の私の考え方を紹介しよう(私の肩書きは税理士だが、その前に企業経営者であることを信条としている。縦に書いてある税法条文を横に書き換える程度の話はよしとしていない)。


 弊社では決算を前にして、各現場が期中の試算表作成や経営分析を行なう。
 ①対売上高の、仕入等の原価コントロールすること
 ②原価を引いた後、対粗利益の人件費の割合をコントロールすること
 ③それ以外の変動費をコントロールすること


 プロの経営者は、在るべき粗利益率、労働分配率をイメージして決算書のプロポーションをデザインするだろう。イメージが成功して、期末に一連の決算処理をした後、利益がたっぷり出たとする。
 ここで中小零細企業の経営者は、ほくそ笑めばいいのだ。今年もゲームに勝ったと。そして勝った記録を残す。本来、どれだけ当社が高利益体質なのかを記録する。もちろん銀行に自慢するためにだ。「弊社は本来こんなに儲かるのだけど、税金という経費(あえて経費と見る)を選択せず、決算対策でこれだけ将来投資をしたのだ」と自慢するのだ。



決算対策の第一の柱は社員に報いること

 大きな懸案がなければ決算対策は原則として、決算賞与で分配する。いつ巨大な変化がきて、赤字になるかもしれない。企業とは脆弱で如何につぶれやすいか! 期中は厳しく人件費をコントロールし、利益を常に確保しておく。ところが、いったん決算でしっかり利益が出たら、決算賞与を出すべきだと私は思う。
 それは、「会社はうまくいけばたっぷりご褒美をくれる。しかし赤字になったら決算賞与はない」と社員に思わせる方がいいからだ。決算賞与は、利益がなければ払えない。実は決算賞与は会社を守るための最大のクッションなのだ。


 こんなことをいうと「そんなに人件費を払ったら、労働分配率が高くなり、悪い会社に見られる」と思う経営者もいるだろう。この連載は上場企業の経営者のために書いているわけでない。株主総会はどんなに緊張する儀式なのかを知らない社長のための記事だ。非上場の会社の社長が怖いのは、
 ①取引先(得意先)
 ②金融機関
 ③税務署——の順だろう。


 業種によっては、毎年の決算書の提出を要求する大企業の得意先もある。利益が出ていれば、即値下げ要求になる。
 ②の金融機関以外は、「弊社は儲からない会社だ」と決算書に書かれていた方が実は都合がよい。決算書が黒字でさえあれば、金融機関には、いかに決算対策で弊社が上手に節税したかを教えればいい。自らの成績として融資を実行したい銀行担当は融資の審査稟議書にその話を詳細に書くだろう。期中は、経営の本来リスクから会社を守る。期末になったら、得意先や税務署から自社を守る。だから決算対策は重要なのだ。

intervew_no14chart08.jpg※業務効率を高める複合機や社員の体を癒すマッサージ器の購入は、
前向きな節税対策としても有効だ。



人件費率が高い会社は 悪い会社なのか!?
 以前、銀座の高級クラブの経営指導を検討したが、その際、権威ある経営分析データベース資料を読んでびっくりしたことがある。黒字の接客業のデータと赤字の接客業のデータで、決定的に違っていた数値があったのだ。それは労働分配率だ。


 黒字の店は、人件費を多めに払っているのだ。なるほどと思った。接客業は、女性に客がつく。よい女性を集めれば、よい客を連れてくると、銀座のママはいっていた。「人件費が高いこと=即利益が出ない」と結論付けるのは、嘘なのだ。人の能力で差が生まれる業種は、いい人を集めた方がいいに決まっている。
 期中はコントロールしてほどほどの給料。決算対策で、意識的に業界水準より高い給料を、いてほしい人には特に多めに払える仕掛けをしておくことが、結果的にいい人が残り、会社や社長のためになる。


 ただし、決算賞与は慣れてきてしまう。そこで福利厚生という別の報酬を用意する方法もある。
 例えば、医療の実費補償をしてくれる損害保険だ。実は、私は先日、眼の病気で一週間ほど個室に入院した。つくづく医療費のリスクは、保険でヘッジしなければならないと感じた。いわゆる「入院一日いくら払います」の保険ではなく、医療の実費補償をしてくれるタイプだ。


 富士火災に「みんなの健保」という新しい損害保険商品がある。弊社も在社5年以上かつ年齢満40才以上であれば、パート、正社員の分け隔てをせず全員加入させた。入院したら制限はあるが個室差額代も補償してくれる。また医療の専門スタッフが24時間相談に乗ってくれて、専門医の紹介もしてくれるサービスもある。


 また、過日はヤマダ電機で、定価50万円ぐらいの高級マッサージ器を、30万円を割る価格で購入した。女性が半数の弊社。肩こりのスタッフは入荷を心待ちにしている。しかも、この3月までは30万円までの一括償却が可能だ。少々場所をとるが、これはよい決算対策だと思う。




人件費よりもはるかに安いオフィス機器への投資
 来期に発生するであろう経費を、先取りすることが大事な決算対策である。弊社は増員もあるのでノートパソコンを11台とプリンターを4台を注文した。
 これらの中で特によかったのは、ブラザー製のA4プリンター。ネットワーク標準対応であり、結果として非常に安価だ。また、コピー複合機も購入した。A4プリンターは、4人の机の真ん中ごとに配置する。コピー機は、おおむねオフィスの四隅に配置している。
 弊社は社員40人余りでプリンターは15台ある。出力を取りにウロウロしたり、繁忙期のコピーやプリント待ちは愚かなことだ。人件費に換算すれば、文句もいわず、暇なら黙って待っていてくれる機材投資など安いものだ。
 パソコンからの出力帳票が私たちの製品である。その肝心のプリンターが業務効率低下のボトルネックだとは、社員には絶対にいわせない。繰り返すが一番高いコストは、人件費なのである。

 

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