同じものを売って独走する!断トツの公式!~Part4

P A R T 1 家電量販店業界の優勝劣敗
P A R T 2 ヤマダとコジマの分析比較
P A R T 3 ヤマダの1㎡販・管費の軌跡
P A R T 4 山田昇社長インタビュー
P A R T 5 販・管費の有効活用法
◇P A R T 4 山田昇社長インタビュー
写真◎乾 芳江
利益創出こそNo.1企業の社会的責任
雇用し、納税し、経済を活性化する
—— 家電販売以外で、ヤマダの全国ネットワークが生かせる独自コンテンツの商品化ですね。 —— ポイント販促の進め方も、非常に独創的ですね。無料で配ったり、千趣会の商品を買えるようにしたりと。 —— 従来のFCの発想は加盟店からいかにロイヤルティを取るか、ですよね。そうではなく、コンテンツビジネスを拡大できれば、ヤマダ電機に自然とその利益が入ってくる。加盟店に過度の負担を強いる必要はないわけですね。
業界No.1企業の社会的な責任
山田 最近よく思うのだけど、当社ぐらいの規模になると社会的な責任があるんですよ。社会的な責任とは何かというと、利益を出さなきゃいかんということです。利益を出すことは社会貢献ですよ、税金という形のね。それを最近、強く思っています。安く売るだけでは、誰も潤わない。
——利益を出せば、また店が出せて雇用が増えるという循環ですね。
山田 経営の目標はそっちですよ。一方では闘いながらね。
—— いつ頃から意識されたのですか?
山田 行政の方と話すと、必ずいわれるんです。「ヤマダさん、利益を出してください」と。やっぱりそうだよなと、思うじゃないですか。仮に売上高が2兆円として、利益率が5%だったら1000億円。そこから税金を納めるという循環を継続しない限り、業界は発展しないし、経済も止まる。そういう意味での、責任の重さですね。
—— 家電は生活必需品。その供給がスムーズでないと、暮らしにくくなるという側面もありますね。
山田 メーカーさんと消費者の仲立ちをするというサービス、これも大事だよ、確かに。ただ、それだけでは国は栄えない。やっぱりトップ企業としての社会的な責任ですよ。トップ企業というのは、どこの業界でも利益が上がっているじゃないですか。
—— 車ならトヨタ、電機ならGEですかね。
山田 そういう目標でなくちゃ、業界が潰れますよ。ただ価格だけの闘いをやっていて、じゃあ、いつヤマダが潰れてもいいのかということになってしまう。後はお客のことも知らないよ。従業員のことも、投資家のことも知らないよ、というわけにはいかないでしょう。やはり経営を持続的に成長させていくこと。これが必要なんです。
—— トップ企業となった以上、儲かればいいという発想ではなく、何のために経営するかということですね。
山田 ものすごく大事なことですよ。どんな業種でも同じだと思うよ。例えばダイエーさんが潰れたよね。GMS(ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア)の№1が。あれは不幸ですよ、社会的に。再建のために税金まで投入したのだから。そうしては、いけないじゃないですか、№1はね。2番手、3番手なら、そんなことは考えないでしょうけどね。
—— その考えが社会に浸透した時にブランドになるのでは
山田 そうでしょうね。全産業の№1企業のトップの方は、皆さんそう思っておられますよ、多分。
新たな収益源はコンテンツビジネス
—— 山田社長は最近、コンテツビジネスということを盛んに仰っています。物販による売買差益以外のビジネスと解釈しているのですが。
山田 それが最近の収益を押し上げている。これは1-2年では絶対にできない。10年でようやくです。
―― きっかけは94年度に始まっ た長期保証「The安心」ですか。
山田 当時は、とにかく競合に負けないようにと、商品をかき集めて安く売っていましたが、一方では「このままでは駄目だ」と思ったよね。売買差益以外で利益を生む仕組みを作らなければ、ということでThe安心をスタート。10年経ってようやく手応えが出てきました。
—— 94年当時はローコスト経営を徹底しながらも、これだけでは儲からないということを肌で感じていたわけですか。
山田 これは一つの例ですよ、サービスを商品化して、収益を上げるという考え方の。今の当社には全国ネットのインフラがある。インフラというのは店舗、人、物流、宣伝など。これを基盤に、売買差益以外の新しいビジネスに取り組んでいる。ネットワークが充実すればするほど、効果が出てきます。これを私は間接的な利益と呼んでいる。
—— 物流も第4次計画まできているそうですが、最終的に何を目指しているのですか。
山田 最適条件です。例えば、今まで30万人口ごとの店舗網を作ってきた。店毎に在庫を置き、配送などの拠点サービスやっていたわけです。しかし、今はもっときめ細かな商圏設定の店舗網に変わってきた。そうなると、在庫を一店一店持つ必要はないじゃないですか。
—— 多頻度少量物流ですね。
山田 そう。しかも最近は、お客様に時間帯サービスで商品が届くようになっている。このシステムを応用して、例えばエアコンの即日工事については、標準工事代にプラスの料金をいただくとかね。そういうふうに進化しているんですよ。
—— 即日工事にも対応できる体制を敷き、そういった付加価値については、それに見合う料金を設定するわけですね。
山田 そういうサービスを望むお客様もいるんです。そういう方のために、コストをかけて体制を整備することが重要なんです。
—— コンテンツビジネスが広がれば広がるほど、顧客サービスが充実し、利益も増える。
山田 そうです。例えば子会社のクライムエンターテイメントでは、ロックバンド(スワンプ・デルタ・ロックカフェ)を育てています。うちには全店にソフトコーナーがあるから、そこで売ることができるということでね。
—— 彼らはヤマダのテレビCMにも出ていますね。
山 田 そういったものを、すべてビジネス化していく。いつかヒットを出せば、えらい化け物にもなるだろうと。そういう思いで、やっているわけです。
山田 そういう経営戦略テーマのプロジェクトが、今現在、20ぐらい進行している。中身はいえませんけどね。それをやらないと、絶対に利益は出ません。競争が激しくてね。
ポイント販促の狙いは使ってもらうこと
山田 ポイントをいかに利用してもらうか、ということを考えたからです。これも一つのコンテンツですよ。ポイントというと、普通は失効をあてにして、いかに使ってもらわないようにするか、ということを考えるじゃないですか。
うちは逆です。使ってもらうように仕向ければ、「どうせポイントをもらうなら、ヤマダの方がいろんなものが買える」ということになる。お客さんにとっては、ものすごく利便性が高まる。そして、当社にとっても新しいビジネスチャンスが生まれるんです。
—— 非常に前向きですが、コスト負担も大きそうですね。
山田 ポイントを使わせず失効させて、その分利益を計上するという方法もある。しかし、それは狭い。失効がなければ、その分粗利は減ります。粗利は減るけれど、ビジネスチャンスは拡大するじゃないですか。そういう考えでやっています。
—— 次の売り上げを生み出すための投資ですね。考えてみれば、ポイントを与えただけで使わせないということは、もう店にくるなといっているようなものですよね。
山田 ポイントマシンも、エンドレスですよ。年間1回でも来店いただければ、差し上げている。差し上げるということは、有効期限がないようなもの。いかに使ってもらうかという考え方でなければ、ポイントマシンなんて導入しません。
—— 最初からそういう発想でポイントを導入したんですか?
山田 いや、最初はそうじゃない。試行錯誤しながら、もう4年目ですよ。4年経ってようやくここまできた。ビジネスチャンスが拡大していくという目線です。そういうふうにしていけば、いろんなビジネスチャンスが出てくる。
FC展開の真の狙いは
—— 今年はFCやM&A(企業買収)を積極化すると発言されています。社長の計画では、マーケットシェアをどこまで伸ばすのですか。
山田 現状で、シェアが一番高いのは地元の群馬県で40%ぐらいある。長野県も同様ですね。なぜ40%もあるかというと、やっぱりそれだけの歴史があるわけですね。
ここまできた歴史的な時間があった中で、固定客が増えているから、40%も取れている。しかし、北海道から九州までを同じスタイルでは展開できない。
群馬は32年の時間がかかっている。だから他のエリアは地元の方と手を組んで時間を短縮。ヤマダの今までのスタイルと合わせてシェアを取っていきます。
—— そうやって成長を続けた場合、業界はどう変わりますか。最近はメーカーの家電部門が急速に疲弊しているようですが。
山田 これは過当競争だから。そういった面では我われにも、その責任はあるよね。
—— ある意味、当事者ですよね。
山田 特にテレビは、儲かるところと儲からないところが出てきた。儲からないメーカーの中には、やりたくはないが、やらざるを得ないところもあれば、最初から諦めてやらないところもある。単価ダウンがこれだけ激しいと、ついていけないわけですよ。
だから、収益力を高めながら、業界の疲弊を防ぐことも考えないと。そういう展開であれば、社会貢献とのバランスはとれる。社会貢献と業界発展。この2つを考えた中で、そうせざるを得ないのがヤマダ電機なんですよ。
—— FCといっても単なるロイヤリティ稼ぎではないぞと。
山田 FCは早期にシェアをとる手段ですよ。例えば昨年11月にFCをスタートした四国でいうと、それまでの当社のシェアは15-16%ぐらいでしたが、FCの開始で一気に30%を超えますよ。
直営店展開でそこまでのシェアには10年以上かかります。そんな悠長な時間はないわけですよ。しかも、シェアを一気に高めるということは、さっき話したコンテンツビジネスが移植できる。
—— 店舗展開を早めれば、コンテンツビジネスの展開効率も高まるわけですね。
山田 それをいっているわけです。直接的な規模の利益もあるが、それと比例してコンテンツビジネスも拡大していく。
山田 当社の規模のメリットをいかしながら、コンテンツビジネスを一緒にやっていこうということです。また、そうすることで業界発展も実現するわけです。
ナショナルチェーンとして 盤石の体制を早期構築
—— ライバルのヨドバシカメラが昨年夏、秋葉原(東京)に超大型店を出し、話題になっています。ヤマダも3月に難波店(大阪)が控えていますが、ライバルの動向は気になりますか。
山田 難波店は都市部のお客様へのサービスですよ。うちが唯一やっていない部分でしたから。小さな商圏の店から大きな商圏の店まで、すべてやって初めてお客様のニーズに応えられる。うちの事業目標はナショナルチェーン。大商圏店舗がなかったら中途半端ですよね。ナショナルチェーンとしての事業目標を盤石にしたいと思っているだけです。
—— 大手GMSが、デパート、スーパー、コンビニと各種の業態で顧客に対応してきたようにですか。
山田 私が目指すのは、家電量販専門店という枠の中でのナショナルチェーンです。日本のGMSは、まだ確立されていないと思いますよ。一つの業態として、ナショナルチェーンとして。結局は当社とか、ドラッグストアとか、あるいはユニクロさんやしまむらさんに取られてしまったじゃないですか。
—— カテゴリーキラーですね。
山田 ところがウォルマートは米国で、家電でも1商品100万台という規模で発注している。こうなってくると、商品にメーカーブランドが付いているものの、製造小売業に近い。しかし、そうなりきれていない、日本のGMSは。
—— 総売上高が2兆円や3兆円程度では、1分野ごとの規模が小さ過ぎるわけですね。家電だったらヤマダぐらい、医薬品ならマツモトキヨシぐらい、衣料品はユニクロぐらい売る。それを結合して初めて、GMS事業が確立するわけですね。
山田 それが本来でしょう。しかし、分野ごとのシェアが低いと収益性も低い。だからナショナルチェーンのGMSとしてのビジネスが確立できていないんだと思います。
—— 逆にいうと、ウォルマートは米国でそれだけの規模があるから、トイザらスやサーキットシティ(全米第2位の家電店)などの専門量販店を脅かしているわけですね。
山田 だから、私も意識していますよ。量を売らないといけないと。ウォルマートが今後、日本でどう展開するのかは分からない。けれども、電機製品は扱うでしょうから、彼らにない量を売らないと負けちゃいますよ。逆転されちゃいますよ。それは、意識しています。
—— そのためには家電専門量販店のナショナルチェーンとして、盤石の体制を早期に構築しようということですね。
山田 私もそんなに長く社長をやれない。けれども、そんな考えの中で少なくとも、バトンタッチを確実にするためにも、私が元気なうちに見ておきたいですね。
幸いにしてこの業界、廃れないじゃないですか。ということは、どこかがやるわけですよ。どこかがやるわけだから、経営を常にしっかりしていれば、潰れること自体がおかしいんです。
たまたま今の時代が変革期だったから、こういうふうになっちゃったんですよね。うちは逆にいえばそれをチャンスに、うまくとらえたということ、この変革期にね。こういうことって、将来、そんなにはないと思うんです。運もよかった。そこは感謝しています。 (敬称略)





