福島敦子のアントレプレナー対談 No.14

(写真◎乾芳江)

大庄◎平 辰社長

愛を原点に人を育てる元祖
「よろこんで!」
(株)大庄(東京都品川区)
 大庄グループは(株)大庄を中核とした大衆割烹チェーン。69年に6坪の焼き鳥店からスタートし、99年に東証一部上場。05年11月現在で、日本全国に「庄や」「やるき茶屋」「日本海庄や」など、28業態870店舗を展開している。
 06年8月までに約100店舗を新規出店し、07年8月までに1000店舗とする計画である。  関連子会社には物流会社、水産加工・養殖業会社などがあり、全国各地の農家と契約栽培を実施。生産から加工、流通、店舗運営に至るまでの「川上から川下までの経営」を実践している。
 また、8月8日を「母の日・パパの日と命名」し、国民の祝日とする草の根運動を実施中である。

食材へのこだわり

福島敦子氏 福島 私の知人に、庄やさんを台所代わりにしている者がおります。ぜひ一度、表彰していただけないかと思うほどです。
 平 ぜひ、よろんで(笑)。


 福島 1 年のうち、364日は庄やで食事をしています。「なぜ、そんなに毎日いくの」と聞いたのですが、「居心地がよくて、魚と野菜がおいしいし、安い。だから毎 日通っている」という話でした。平社長は食材にこだわっていらっしゃって、野菜はすべて国産。防腐剤や合成着色料は一切使わない。全国の農家と契約栽培を したり、グループ内に水産加工会社を持っていたりと、ものすごく徹底されていらっしゃいますね。
 平  私の生まれ故郷は佐渡島です。佐渡では当時、他県の食品が入ってくることは、まずありませんでした。地産地消(自分の土地で作ったものを自分たちで食べ る)です。母が畑の大根を抜いて冷たい水で洗う。朝の4時ごろ、トントントンと、まな板の音で目が覚めるわけです。それが私たちの生活。同じものを家族で 食べる。母が一番気を遣ったことは無農薬や冷たい清水などでした。やっぱり生まれた所の食材が一番いい。

 しかし現実には、大きくなれ、早く育て、経済効果ももっと高まれと、やっている。それが食べ物として、本当にいいのかということに疑問を感じました。遺 伝子組み換えや成長ホルモン、病気や害虫を駆除する農薬などは絶対やっちゃならない。添加物も化学調味料も使わない方がいい。すべて自然の中のものを提供 させていただく。これが一番健康にいいことではないか、と考えています。


 福島 私たち消費者にとって、それは大変ありがたいことです。ただ、居酒屋業界は競争が厳しい。その理念と価格とを、どう両立するかが非常に難しいと思うのですが。
平 辰社長   価格についていえば、生産地からの流通、物の流れに問題があると思います。問屋や物流業者をいくつ通しているの、という話です。時間もかかり、価格も跳ね 上がる仕組みなんです。生産者は価格を安定させたい。しかし、生産量が多い時は価格が下がり、生産をやめると少量が流通するので高騰する。生産者の生活は 不安定になります。流通業者としては、供給量を安定させるため海外からの輸入を繰り返す。これがわが国の食糧自給率40%に跳ね返ってくるのです。

 これに対し大庄では、価格と鮮度の安定化を図り、農家と直接契約をして計画生産と産地直送を実現。商品力の競争に勝つことができました。なぜなら直接契 約は市場流通と違い、ABCなどの等級の区別をしなくても、生産量のすべてを買ってもらえると農家から大いに喜ばれているからです。生産者は安定収入を得 られ、我々は安定量・安定価格という需給の図式ができ上がりました。無農薬栽培も可能で、化学肥料を減らし、有機肥料に変えていくことも可能になりまし た。

 魚介も同じで、市場で売りにくい大きさが不揃いや、知名度がない、量が少なすぎるなどの地魚を全国約16漁港と契約し、大中小の箱に入れて、毎日 300~500箱を店に送っています。これまで捨てていたり、自家消費に回っていたものがお金になるというので、漁師さんたちに喜ばれています。
 店でも、魚の小箱として「今日はどんな魚かな」とお客様が期待されています。こんなことができるのも、プロの調理人がいるからです。30年前から調理学校を運営し、板前さんを養成しています。


 福島 アメリカからの牛肉輸入が再開されました。今問題になっているのは、食べたい人は食べればいいけれども、食べたくない人は食べたくない。外食でもそれを選ぶ情報がほしいということです。
 平  牛肉でいいますと、私どもはオーストラリアとニュージーランドだけです。アメリカもずいぶん調べましたがノーです。肉骨粉の内容も調べましたが、とても じゃないけれど、ダメだと私は思います。一番いいのはニュージーランドですね。エサから取ってきて調べました。みかんの皮やアーモンドの皮などですが、その農薬まで徹底的に調べました。


 福島 自分が頼んだ料理の食材がどこからきたかを知りたいと思えば、メニューに書いてあるんですか?
 平  代表的な産地は書いてあります。実は、農水省の今回のガイドラインでは、その基本になったのは私どものメニューなんです。5年ほど前から表示しています。 産地はもちろんのこと、生産者グループなどもきちんと表示しています。メニューとは別に一覧があり、お客様からのお問合せには答えられるようになっています。

 

 

大庄設立の布石は満員電車

 福島 そもそも起業をされようと思ったきっかけとは。
 平 私は電車のない佐渡島から出てきました。そして、コンピュータ関係の職につきました。


 福島 昭和何年に東京に出てこられたのですか
 平 30年ですね。それはびっくりしました。そして強烈な超満員の通勤電車。あれには参りました。


 福島 その会社には何年ぐらいいらしたのですか。
 平 2~3年ぐらいかな


 福島 組織で働くのは向いていないと思われたんですか。
 平 満員電車が嫌だったんです。


 福島 満員電車に立ち続けてはいられないと。
 平 そのぐらい疲れました。


 福島 満員電車通勤の経験がなかったら大庄グループはなかった(笑)。サラリーマンをやめてからは、ずいぶんといろいろなご商売を経験されたようですね。
 平  割り箸製造を始めました。先輩に連れて行かれた台湾料理の店の、割り箸立ての不潔さがヒントになりました。再生ポリエチレンの袋に入れた「滅菌割り箸」を 考案しました。これが大変な売れ行きで、順調かと思われた矢先に詐欺師にだまされスッテンテン。この時に、納入先の飲食店を見ていて60%の利益率に魅力 を感じ、義理の兄のところのレストランの見習い店長を皮切りに、飲食の道に入りました。その後独立して、大田区池上の特飲街で「朱鷺」という焼き鳥屋を始 めることにしました。


 福島 奥様と2人でですか。
 平 子どもが小さかったものですから1人でやりました。最初は職人さんを雇って教えてもらいました。


 福島 スタートから順調だったんですか。
 平 いいえ。全然だめでした。場所もあまりよくないが、とにかくお客様にきていただけない。


 福島 どうされたんですか。だめな状態から、どう立ち上がって。
 平  毎日、売れない焼き鳥を焼いちゃあ食べ、近所に配ったり、そんな状態でした。最初、売り上げがいい時 でも1日3000円程度。最初は本当にだめでしたね。 それでも、この蟻地獄から抜け出したいと、日掛預金を始めました。3000円の売り上げでも1日1000円。1000円の日でも1日1000円を信用組合 から集金にきてもらいました。その時は、頼りになるのはお金しかなかったんですね。


 福島 どうやってお客さんにきてもらうようになったのですか。
 平  風呂屋へ行って、三助のようにお客さんの背中を流しましてね。「お、新しい三助が入ったのか」とかいわれて、「三助じゃないんです。焼き鳥屋を始めたんだ けど、お客さんがきてくれないから背中を流してるんですよ」、「なかなか大変だな」とかいわれて、帰りがけに子供を連れて焼き鳥をお土産に買いにきてくれたりと。そんな感じでしたね。


 福島 営業とボランティアを兼ねて、ですね。
 平 酔っ払った近所のおじさんを自転車で家まで送ったりもしました。後は町内会の掃除かな。そのうちお土産を持って帰った旦那の奥さんが、「焼き鳥屋ができたのね」といって子供ときてくれる。小料理屋のお姉さんが、お客さんに「焼き鳥をとってやれ」といわれてきてくれる。

ある時から「ここのつくねはおいしい」と評判になりましてね。超一流の鳥割烹にいた板前さんを雇ったものですから、おいしいはずなんです。この人のつく ねが天下一品だったので、銀座からもお客さんがきてくれるようになった。繁盛の起爆剤ではありました。これを目当てに、きれいなお姉さんが店の前に並んで くれるんです。売り上げも1万になり、2万になり、5万になり、最後は9万円ぐらいまでいきました。
 それに連れて、日掛預金も1000円から5000円、10000円にとなりました。この頃に、人間らしいお付き合いをたくさんさせていただきました。そして「本当のサービスは愛なんだ」「見返りを求めない愛なんだ」ということに気付いたのです。


 福島 庄やの原点は「朱鷺」の時代にあったと。
 平 何とかまとまった開店資金ができました。そこで次の店をやろうかという話になるわけです。水道橋(東京)で店を探していたら、ありました。当時は学生運動で荒れた後だったので安かったんです。もう、とにかくすごかったですよ。忙しくて寝る暇もないぐらい。


 福島 それだけ繁盛したわけは?
 平 安かったからです。当時、日本人はたんぱく質が足りないといわれ、肉がドーンと売れていました。しかし「たんぱく質は肉だけじゃないよ。魚をうんと食べてもらおうじゃないか」ということで当時まだ高かった刺身を安く出したんです。これが受けました。


 福島 そんなに安く提供されたのですか。
 平  ええ。特に魚が安かったんですよ。かなりの量の刺身の盛合せが3000円。これは今も当時のままです。アサリのバター焼きなんていうのは、うちが始めたん ですけれども、それまでは魚市場の隅に石ころの袋みたいにドーンと積んであったんです。売れない。使い道がない。砂はあるわ、重たいわ。焼き鳥に代わる ヒット商品を探した結果が、アサリでした。アサリのバター焼き、アサリの酒蒸し、アサリのなんとかって作って。それが今、国産アサリがなくなった原因かも 知れませんね(笑)。


 福島 そのお店が今の大庄グループのベースになったのですね。
 平 はい。今、「庄や兵左ェ門ビル」で庄やとカラオケ歌うんだ村を営業しています。

 


「幸せ本線成功行き」

 福島 紆余曲折を経て大グループ企業になったわけですが、一番の成功要因は何だったのでしょうか。
 平  人でしょうね。みんな、崩れていくのは人だと思います。どこも人で悩まされます。水道橋の頃です。当時はピークを迎える頃になると忙しくて、料理が遅れ る。お客様から請求されると、板前さんがネを上げて両手をあげちゃうんです。「何をやってんだよ」って聞くと、「俺、タコじゃないんだから。手は2本しか ないんだよ」。


 福島 我がまま放題なわけですね。
 平 「この店はご難場(難儀をする店)だから、俺には務まらない」といって帰っちゃうんですから。たまったものじゃないです。


 福島 板前さんが定着しない、人に苦労をしたことから行き着いたのが、社員独立制度ですね。
 平  板前さんは会から紹介されることが多いんです。会に所属していれば就職口には困らない。いくらでも仕事はあって、やめても会に戻れば仕事を紹介してもらえ るという仕組みでした。そこで、板前さんに将来の夢を聞いてみると、皆「店が持ちたい」というんです。それなら、ということで独立して店が持てる制度を作 りました。「やる気を出す」「自分の夢」を毎日のように、仕事が終わってから、皆と語り合いもしました。初めは私が保証人になって銀行から借入れをして店 を持たせました。しかし、5店舗目には銀行ももう個人には金を貸してくれません。ちょうど協同組合が作れるという話を聞き込んでいましたので、渡りに船。 4人の独立者と私の店をそれぞれ有限会社にし、5店舗をあわせて協同組合を作り、その事業の1つとして融資を入れました。


 福島 その条件が、大庄グループで5年以上仕事をして、店長か料理長を3年以上経験された方。そして開店費用の10%を自己負担できること。たったこれだけですか。
 平  そうです。無担保で。そんなに難しい話ではないんです。商工中金をメインにし、協同組合が連帯保証をするから金を出してくれ、という仕組みを作っただけで す。組合は今15億の貸付資金を持っています。8本ある「幸せ本線成功行き」の1本です。条件がそろえば誰でも組合から資金支援が受けられます。


 福島 幸せ本線成功行き?
 平 ええ。独立したければ独立本線に乗ればいいし、家を持ちたければ、持家本線に乗ればいい。財形貯蓄をやらせていますが、それでも一番困るのは頭金です。そこで750万まで頭金を貸すことにしています。これは本当に微々たる金利です。

 

 

社員教育の原点は「愛」

 福島 社員独立制度もそうなんでしょうけど、従業員の心をつかむのは「愛」が原点になっているという話をお聞きしました。
 平 神が愛しているのは人間であり、人間が人間を愛するのは当たり前の話じゃないですか。それは、母が子供に、見返りを求めない愛で育てる、というようなものと考えれば、よくわかると思います。愛が一番になかったら、おかしいじゃないですかね。


 福島 経営者と従業員の関係というのは、もっとビジネスライクなところが強いと思うんです。平社長は多分、その辺の考え方が他の経営者の方とは違っていらっしゃるんじゃないかと思いますけど。
 平 従業員が幸せにならなかったら会社じゃないですものね。みんな幸せになろうと思って会社に就職するんじゃないでしょうかね。だから、新しい人が入ってこようと、古株がいようと、一緒の条件を誰でも選べるようにしてあげた方がいいと思うんです。


 福島 従業員の甘えや、そこそこやっていれば、いい福利厚生が得られて、ということになりかねない部分はありませんか。
 平 やっぱり、そこにはノルマ、目標があります。その上で、面倒見られるところまでは面倒を見ることが絶対に必要です。誰だって夢もあるし、自分の目標を達成したい。その土壌は作ってあげないとね。


 福島 社長の従業員に対する愛というのは、本当に無償の愛という感じなんですか。例えば融資したお金が返ってこなくても、それはそれでしようがないという思いでいらっしゃるんですか。
 平 そうは思いません。義務を果たせということですから。そういう者も過去に4人ぐらいいました。奥さんとどんぶり勘定を始めてしまい、最後には大穴を開けてしまったんです。それからは、事務は本部で引き受けるということで、事務代行制度ができました。

 


「よろこんで」の精神


 福島 キャッチフレーズの「よろこんで」を、皆さん威勢よくおっしゃいますよね。あれにはずいぶんといろいろな意味があるんじゃないですか。
 平 「心からよろこんで、あなたのためにさせていただきます」ということです。合言葉として、モチベーションを高める効果がありますね。


 福島 いつからですか、「よろこんで」は。
 平 やるき茶屋の開店の時ですから25年になりますか。


 福島 「こういいましょう」というマニュアルは?
 平 マニュアルはないです。皆さんが顔を合わせたら「おはようございます」「こんにちは」と挨拶をするのと同じことです。「よろこんで」は、うちの伝統としてあるということです。


 福島 最近では女将さんと呼ぶスタッフを置き始めたということですが、これはどういうことなんですか。
 平 それは、もう絶対女将さんがいないとだめですよね。女将さんはお母さん代わりですから何でも受ける。お客様のおっしゃることを何でも聞いて差し上げる。女将さんに愚痴をいうのもいいし、あたるのもいい。また従業員に対しても同じです。
男の子も女の子も、そういう母親の愛に飢えているんです。大卒の店長などは若いから、なかなかそういう人生の云々までは分からない。女将さんですと、人生経験のある年配者が相談相手にも教育者にもなるわけです。

 


いかに優れた店長を育てるか


 福島 今、居酒屋業界は競争が激しく、大庄グループでも既存店の売り上げを伸ばしていくのがかなり厳しい環境だと思います。今後はどういう方向性で勝ち抜いていこうと考えていらっしゃいますか。
 平  他社との競争ではないと考えています。その方法として、1つは、株主への安定配当、還元です。2つ目は社員の夢をかなえる。そして、3つ目はお客様のオン リーワンの店になることであり、これらのために正しい道を歩まなければならない。正道は絶対に欠かせないものです。一時的なことでは絶対あってはならな い、と。

 特に配当については、業界で最もよく、一株あたり年間で20円、株主優待を合わせると預金するよりいいでしょう。この3つのために、正道を歩むというこ とです。商人は正しい道を歩まなければならない。正道は絶対に欠かせないものです。一時的なことでは絶対あってはならない。「絶対的に正道を歩めよ」に尽 きます。この「わが道を行く」スタイルが、長くやっていられる秘訣だと思います。その正道を歩む社員を育てることが私の義務です。途中採用を含めての社員 教育は、入社後、店長研修まで6ステップのカリキュラムがあり、毎月それぞれ10日ずつ、毎日70~80人がセンターで研修を受けています。


 福島 店長教育で、一番強調して教えられていることは?
 平 愛。心の持ち方。ホスピタリティの真の精神とは何だ、というところでしょうか。おもてなしの優しい心、それをいかに作り上げるかが第1です。その次にマネジメントとか技術という話になります。


 福島 上場企業としての責任という話になると、経済合理性が不可欠です。どうやって利益を出す構造を作っているのか、というところをお願いします。
 平  そうですね。利益の構造というと難しい。でも、従業員がやることは1つなんです。それは、一人の人間が今日一日、何人のお客様を喜ばせることができたかな んです。これが本当の売り上げであり、経済合理性につながると思います。さらに、経費をいかに使わないで実現するかということになります。

つまり「歩みくる人に安らぎを。帰り行く人に幸せを」というホスピタリティの真髄が高ければ高いほど、合理性の効果が上がってくると思います。そして、 これを体験した口コミのお客様が多ければ多いほど、利益が上がる。お客様がタダで宣伝してくださるわけですから。お客様をセールスマンにすれば繁盛店にな る。一番の合理化じゃないでしょうか。もちろん、当社の日々決算をしている管理部門による機械化による合理化も欠かせませんが。


 福島 だから、店のスタッフ教育では「おもてなし」が大切になるわけですね。最初にお話しました364日、庄やに通っている知人にこの話を伝えておきます。何かありましたら売り上げに相当貢献していると思いますので、よろしくお願いいたします(笑)。
 平 はい、よろこんで!(敬称略)

○平 辰(たいら・たつ)氏
1940年新潟県佐渡市(両津)生まれ。(株)大庄 代表取締役社長。大庄グループ総帥として大衆割烹「庄や」「やるき茶屋」「日本海庄や」などを全国展開中。料理の原点は、ふるさと・佐渡の自然に恵まれた新鮮な食材と「愛情いっぱいの母の手料理」をモットーに、「安全・安心」にこだわって、食材調達から加工調理までを陣頭指揮している。
インタビュー後記
 居酒屋業界の取材でいつも感じることは、競争の激しさです。その中でも大庄さんの戦い方は、他社とはかなり異なります。派手な存在は目指さず、常に安定的に伸ばす。お店の内装も今風とはいえませんし、メニューも特に奇をてらってはいません。平社長は「正道」とおっしゃいましたが、食材・料理の品質とホスピタリティにこだわり、これを着実に高めてきたことが、独自のポジションを築いた原動力ではないでしょうか。
 特に人材育成を重視している点が大きいように思います。外食産業では人の定着を課題とする企業が多いと聞きます。その課題に真っ向からチャレンジし、独立制度や教育制度などに行き着いたのでしょう。人を育て、ホスピタリティをアップすることで、常連客を増やし、売り上げを伸ばす--。まさしく正道です。この正のスパイラルが企業体質を強くしているのだと思います。(談)